日が西の方へ傾いてくる午後4時、今日も総悟の部屋でいつも通り過ごしていた。
あたしは上機嫌で鼻歌を歌いながら雑誌を読んでいて、隣はゲームに夢中。「よっしゃ」とか「ちっ」とか時折漏れる総悟の声を聞く度に、思わず笑みが零れる。
何だか胸がポカポカして、日だまりでお昼寝しているような、そんなゆったりまったりとした時間が流れていた。


“幸せの定義”

ふと目に止まったのは、雑誌に載っていた歌詞の中に書いてあるワンフレーズ。普段なら流し読みするそのコーナーも何だか感じる物があって、目が離せなかった。


『ねぇねぇ、幸せの定義って何のこと?』
「いきなり何でィ」

いいところで話しかけられたからか、若干総悟は不機嫌だった。まぁ、総悟の機嫌なんて今更気にしないけど。構わず私は話を進めた。

『んー?よく詩とか歌詞に出てくるじゃん。良く分かんないんだよね』
「知るかよ、俺ァゲーム中なんで」
『えー、総悟知らないの?前に、俺の方が優秀だみたいな事言ってたのに〜』
「知らないって言えば嘘になるねィ」
『じゃあ教えてよ!』
「ハッ、辞書でも引いてみたらどうですかィ?」

教えてくんないの?ケチ!!と言いながらも辞書を引き始める私って偉いよね、うん。てかそもそも定義って何だっけ?
てー、てー、…めっけ。“言葉で明確に限定すること。論理学で、概念の内包を明瞭にし、その外延を確定すること”論理学?…しるか、馬鹿やろー。ちょっと苛ついたから、国語辞書をほおり投げた。それを見ていた総悟は残念な人を見るような目で私を見ている。

「物に当たってんなアホ」
『辞書が私を馬鹿にするから』
「名前、本当に残念だねィ」
『彼女を残念扱いしないでくださーい』
「事実だろーが」
『ちょ!絶対…「名前」
『……?』

アンタの方が残念でしょ、と続けようと思ったのだけども、ちょいちょいと総悟が手招きしたから素直に近づいた。
めずらしく総悟が嬉しそうな顔をしているな、なんて思ってたらたちまちすっぽりと腕の中。

『ね、苦しいんだけど』
「黙ってな」


苦しいんだけど、少し痛いんだけど、暖かい。鼻が潰れちゃう気がするけど、そんなのどうでも良く感じちゃう。何だかね、胸の所がまたポカポカしてくるんだ。


「こーいうことだろ」



あ、そっか、これか。




身をもって知った
(言葉では表せない)




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和様リクの沖田(糖分たっぷり)でした!
遅くなった上に、全然甘くないという…。
本当に申し訳ないですorz
返品OKですので!(笑

これからも相合傘を宜しくお願いします(^ω^)
リクエストありがとうございました*

09.12.06 のん


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