澄み切った青空を切り取りたい衝動に駆られる。そんぐらいの晴天。
あまりにも教室が暑いものだから抜け出して来たのだ。キャラが濃いっつーか、暑苦しいったらありゃしねェ。
だが、外は外で風という救世主がある代わりに、日差しという凶悪犯が居ることをすっかり忘れていた。
けれど、授業が始まってしまった今、わざわざ怒られに戻るほど俺は馬鹿じゃねェ。
俺の面倒ランクの位置づけとしては
暑さ<説教
という微妙な位置づけになっている。
それにしても暑い…。
『暑くてとろけそー…』
俺の横でぐたっと倒れているコイツも同じ事を考えているようだった。
うーとかあーとか唸っては寝返りをうっている。
「…寝言みてェで煩ェんだけど」
『うー、寝言ってことで良いよー…』
もう喋る気力も無いらしい。
無言の空気の中、蝉の声がやけに煩い。
『ねぇ、トシー』
「んあー?」
『変なこと聞いて良いー?』
「…んだよ」
『青春って何かな?』
…何つーか、響きが眩しかった。青春っていう言葉の響きが。
瞳の言い方の所為か?こう、漫画なんかに出てくる光が輝くシーン、みてぇな。
「…何テメーは唐突に馬鹿みてェな質問してんだよ」
『うわっ、ひど!!ちゃんと変な質問って言ったじゃん。それに馬鹿って言う人の方が1000倍馬鹿なんですー』
「1000倍…って誰が決めたんだよ!?」
『…私』
「やっぱ馬鹿」
うるさい、と言いながら俺を叩く瞳。…痛くねぇけど。
何だかんだで、拗ねる瞳が可愛く思えた。
毎日がぐるぐると廻って行く。この繰り返しに何の意味があるのだろう。
けど、コイツと過ごすこの時間は確実に俺へ何かの変化をもたらしてくれていた。
そんな変化をもたらしてくれる時間に欠かせない、この場所。
屋上はまるで秘密基地だった
08.08.14 のん