「土方くん、ちょっと良いかな?」


放課後、一人で歩いていると声を掛けられた。
声の主は、知らない女。
これは俺からすると、良くある事。

黙って屋上に付いて行き中へ入ると、其処には一人の男の姿。そして隣には瞳。
雰囲気からすると、告白されているようだった。
あまり見ていても悪いと思い、俺を連れてきた女子に視線を戻す。



「あのっ…土方くん。…ずっと前から好きでした。そのっ、付き合ってください!!」
「…悪ィ」


お決まりのセリフを返す。知らない奴なんかと付き合えるかっつーの。


「っ、何で?!好きな子でもいるの??」


参った、この手のタイプはしつこい。
理由をしつこく聞いてきたかと思えば、その好きな子とやらをしつこく聞いてくる。どーしたものか、と考えながらチラリと瞳を見ると、あっちも少し面倒臭いことになっている様だった。


その時、瞳と視線があう。
瞳の表情は、まるで悪戯を思いついた子供の様だった。
走ってこっちに近づいてくると思うと、俺の腕にしがみついた。


『私、トシと付き合ってるの』



ニコリと笑って瞳がそう言うと、さっきの女は、ごめんねと言ってそそくさと屋上から出ていった。
効果テキメンだな。

それとは対照的に、瞳に告白していた男はまだ信じ切っていない様だった。


「う、嘘だっ!!永島さんは誰とも付き合ってない筈だ!!」


俺の腕に抱きついている瞳が強張る。
…あぁ、そうか。此処は俺が何とかするべきだろう。
しがみついている瞳を更に俺の方へ引っ張り、抱き寄せた。



「嘘じゃねーよ、俺の瞳に手ェ出したらただじゃ置かねぇぜ?」
「…くっ、くそーー!!!」

最後の方に睨みを利かしたのに怯えたのか、ビビリながら走って行ってしまった。

屋上のドアがバタンと閉まるのと同時に、俺達は吹き出した。


『あはははは!!やばいっ、マジうける!!』
「アイツの顔、傑作だったな!!」


俺も、普段の俺からは想像できないくらい大笑いした。
笑いが大分落ち着いた頃、瞳が申し訳なさそうに言う。


『さっきは勝手にごめんね?』
「いや、寧ろ助かった」
『なら良かったけどさ。また協力してね!』
「あぁ、俺の時も頼む」





人はそれを悪友と呼ぶのかもしれない


08.08.03 のん


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