ガーネット | ナノ


「ねえねえ!それってガーネットでしょ?」

その声に意識が引きずり戻される。
ハッとして声のした方を向くと、にこにこ人当たりの良い笑顔を浮かべる友人、ベルがいた。
そうだ、わたし達は次の教科のために教室移動の最中だったのだ。

わたしは自分でもいつからポッドくんを好きになったのは分からない。
しかし、あの日がきっかけになったのは間違いない。わたしの中でそれは、火を見るよりも明らかだった。

「そうだよ」
「ちょっと前から着けてるよね!なにか理由でもあるの?」

言われてみれば確かにそうだった。
あの日このペンダントを着けていたのは偶然だ。
ポッドくんに恋をしている今となっては、好きになったきっかけの記念としてこれを肌身離さずぶらさげている。

「これにはちょっとした思い出があるんだ」
「思い出?」

ベルのきらきらとした目は、黄緑色のガーネットを思い起こさせた。
目から発射される興味がありますビームを必死にかわす。

「ふふ。これはちょっと言えない」

意味あり気に微笑むナマエに、ベルは拗ねた表情を浮かべた。




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