ローロシナンテドフラミンゴクロコダイル
キッドドレークホーキンス
子シャンクス若レイリー

突発書き散らし/人選は適当テーマなし/基本ほんのり恋慕色




ロー

「口はダメだ船長」

ナチュラルな動作でキスしてこようとするローがこわい。昔はまだ遠回しだった気がするけどこの頃はもうあからさま。すり寄ってくるの自体早めの段階でやめさせておくんだった。

「……口以外ならいいのか?」
「まァ、服を脱がさない範囲の口以外なら……」
「チッ」
「チッて何!?」

あとは頬とか額とか手ぐらいしか想像できなかった俺はツナギの襟をぐっと引っ張られ首筋に触れた他者の体温に背筋がぞくりとした。

「ロッ……」
「いいって、言ったよな?」
「、う……」

首の何かをなぞる指。侵略者にして支配者の笑み。おい、やめろ、俺はここの一員であるかぎりそういった関係になるつもりはないんだからな!




ロシナンテ

「どうしても、あなたのことが、好きなんです」

ポロポロ涙をこぼし鼻水をたらし唇をふるわせて告げるロシナンテ。大切な教え子だからこそ一度は断り距離を取った。しかし時間が解決してくれるだろうという俺の目論見は完全に裏目となりロシナンテを深く傷つける結果となってしまった。「ごめんなさい」ごめんなさい。謝罪を繰り返すロシナンテ。
こんな気持ち、良くないことだって分かってます、でも、どうしても、消えなくて、だから、受け入れなくていいからせめて──……。

「拒まないで……ほしいんです」

消え入りそうな微かな声。こいつをこんなにも思い詰めさせてしまうなんて。項垂れた髪に手をのばす資格など、今さらこの俺なんかにあるんだろうか。




ドフラミンゴ10/23
(ハッピーバースデー!)

『生まれてきてくれてありがとうドフィ。君と会えた僕の人生は幸福だ』

毎年祝う我が王の誕生日。数年前、おめでとうの代わりに述べた祝辞をいたくお気に召した様で以来、ドフィの誕生日には不思議なプレゼントイベントが始まった。というのも主役ではなく、僕がドフィになにかをお願いするのだ。豪華なものなら僕自身の誕生日に贈ってもらえるのでこのとき口にするのはささやかな願い。おととしはそのコートを羽織らせてほしい。昨年は頭を撫でさせてほしい。もちろん僕が元々用意していたプレゼントもあるのだけれど、その願いたちはどういったわけか、何週間も悩み抜いて選んだ形あるプレゼントよりもドフィをご機嫌にできる様なのだ。僕の心はすこしばかり複雑である。

「で?今年は?」
「用がなくともドフィと呼んでみたい」
「フッフッ!……呼ぶだけでいいのか?」
「聞こえたことが分かるリアクションを、なんでもいいからすこしだけ欲しい。指先をわずかにうごかすだけでいいんだ」
「フッフッフ!!あァ……お安い御用だ」
「ありがとう、ドフィ。────ドフィ」

返事の代わりにドフィの指先がうごいて、僕の体はドフィの懐へと引っ張られていった。こんなにも大げさじゃなくていいんだけどなァ。




クロコダイル

下働きの男はいつもバカ丸出しの笑みを浮かべているが今日は一度も笑ったところを見ていない。この前腹の虫の居所がわるかったときへらへらしたその顔が気に喰わず一発殴り飛ばした様な覚えはあるが。

「何度言っても直らなかった締まりのねェ笑みを……なぜ急にやめられた?ナナシ」
「え!?……あ、は、はい!なにも意識はしてなかったんですけど……唇の端がきのう乾燥で切れちゃいまして。口を横にのばすと痛くなるので、それの所為かと……」
「……」

で?なぜいまだに保湿してやがらねェんだこのバカは。アドバイスしたところで無駄になることは明らか。手っ取り早くリップバームを贈ってやった。




キッド

「ねェねェキラーさん、キッドの頭熱があるんじゃないかな」
「? そんなふうには見えねェが……」
「だって、頭が分厚い本読んでる」
「ブッッッ殺すぞ!!」

:聞こえてんだよ!!




ドレーク10/24
(ハッピーバースデー!)

あらあなた可愛いわね、とブラックマリアさんところでおもちゃにされた。女系で育った女顔なので着せかえ人形にされるのは今に始まったことじゃないしある程度所作までそれっぽくできてしまうところが我ながら悲しいと思うんだが、

「おい、うちの部下がこっちに……」
「ドレーク船長(助かった……!)」

ととと、と重い頭と重い花魁衣装を引きずってドレーク船長の元へ。が、もうちょいのところで衣装を踏んづけこけてしまう。(それはもう顔面からぎゃふんと。)大丈夫か、と手を貸して起こしてくれる船長。すんませ……って……船長、なんでちょっと頬染めながら目ェよこに逸らしてるんですか。

「船長、よく見てください。俺、あんたの部下ですよ」
「いや、…………分かってる」

え。わかってんの?わかっててその反応?それァちょっとやばくないですか船長、女装してる男にすら弱いとか

「どんだけ女に免疫ないんすか……」
「いや、ちがう、お前が……その……」

心配だなァこの人……たちわるい女に引っかかったりしなきゃいいけど。




ホーキンス

不本意ながらワノ国まで訪れることになったけど「わるいことばっかじゃねェな」という本音をぽろっとこぼしたらしばらく沈黙していたホーキンスがいつもの占いしだした。

「お前が裏切る確率は……2%」
「2%もあるのか〜0かと思ってた。というかそんな悲しいこと占わないで」
「…………」

ペタ、ペタ、とふたたびカードが配され占われたのちホーキンスが自らの首に剣をあてがう。もし斬ったとしても能力のお陰でしぬのは俺だと分かってるけど視覚的に心臓にわるいからそんなことするのはやめてちょ、ホーキンス。

「言え。服従の末に辿りついた状況で、何をよろこぶことがある?」
「それは……」
「言えないのか?」
「…………(ホーキンスがツッコミ属性になって感情豊かになったのがめちゃくちゃ楽しいとは言い出しにくい……)」




子シャンクス

「レイリー、俺は卑劣で人道にもとる犯罪者にだけはなりたくない。だからお願いだ────殴ってほしい!」

望みどおり殴ってやれば「今じゃない!」と喚き立てられた。何なんだ一体?

「そ、その……俺に危ない気配を感じたらその都度止めてほしいなーって……」
「?」

妙な話だった。こいつは血気盛んな方ではないしゲラではあるが酔ったところで暴れまわる様な奴でもない。殴って止めなければならなくなる『危ない気配』が分からなかったのだ。

「ちゃんと説明しなくては分からんぞ」
「……シャンクスが……」
「あいつがどうかしたのか?」

「…………可愛すぎて可愛すぎてどうにかしてしまいそうでこわいんだ…………」

…………。…………………………。

「待って待って待ってくださいレイリー!俺は真剣なんだよ!」
「万一のことがあってみろ!お前の×××を切って海王類の餌にしてやるからな」
「いやーー!?」

「なんの話してんの?」

「ぎええええええシャンクス!?」

ぴと、とペド疑惑の男の片足にしがみついて屈託のない笑みを浮かべる見習いのシャンクス。一方、両手を上げて後ずさり気味のナナシは不審者極まりなかった。

「バギーが花札に負けて拗ねちまったから暇なんだよ。ナナシさん肩車して!」
「か、肩車…………ふともも……」

ガンッ!

「わるいなシャンクス、こいつには備品整理を頼んだとこなんだ」
「そ、そーなんだよ〜〜!じゃあ俺行ってくるわ!アディオス!」

理性を取りもどしたナナシは涙目になってたんこぶを押さえながらも笑顔を作ってそそくさと逃げていく。そんな背中を溜息を吐きながら見送っていたとき、ふと隣から声が掛かった。

「じゃましなくてもいいよレイリーさん」

ん……?

「最近ようやく意識してもらえる様になったとこなんだ。早くきせいじじつ≠チてやつ作って責任取らせたいんだよおれ」
「………………」

にっかり笑うまだ10代に突入したばかりのませガキ。ロジャー海賊団の名誉の為にもまずはこっちの教育をしなおす必要があるらしいと頭を抱えた。




若レイリー

時折こちらの体を透明にしてすべてを覗いてくる様な。そんな眸をする子供だった。

「苦しい?レイリー」

首に絡みついてくる小さな両手。脈絡などなかった。そもそもおれは一人で部屋にいたのだ。突然襲いかかってきて馬乗りになったナナシはおれの首を絞めてきた。水晶の様に澄んだ双眸がしずかにおれを見下ろす。

「……ああ。苦しいよ」
「どのくらい?」
「…………」
「どのくらい苦しい、レイリー」
「…………」
「──おい何やってんだ!」

ナナシが首を傾げたところでシャンクスとバギーが現れ慌てて彼を止めにかかった。仲良く騒ぐトリオだが今日は役目が反対の様だ。大丈夫、問題はない。赤子の縋りつく力の方がつよいくらいだ、ほとんど手を添えられていただけ。

「ごめんなさいレイリー……」
「……いや」

つむじを見せる頭を、手のひらで包む。

「いいんだ」

優しい子だ。無理やり仕舞い込もうとする大人の侘しさを感じ取ったんだろう。心配をかけてしまいわるかった。早くお前達が降りる場所も、見つけてやらなくてはな。


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