マルコイゾウサッチ
エースサボ
ボルサリーノクザン
スパンダムルッチカクパウリー
ゾロサンジ狂死郎

突発書き散らし/人選は適当テーマなし/基本ほんのり恋慕色




マルコ

「なに笑ってんだよい」

頭を掠めた銃弾は命に関わるほどの傷ではなかったけど血はダラダラと流れた、ので失血しすぎた。からの目眩。そして昏倒。意味のある単語すら浮かばない泥水の中みたいな意識の中で俺は無意識のうちに笑っていたらしい。来てくれるだろうなと思っていた通りの人物が傍にやってきてくれたからでしょうかね。

「なんだ……ニヤついてんのかい」




イゾウ

「治療しながら聴いてくださいマルコ」
「断る選択肢は」
「本日足をケガしましたのは」
「……」
「海にて裸足でキャッホー!してたらどこかの不届き者が残していった割れたガラス瓶を踏んづけてしまったわけですが」
「終わったよい」
「最悪な一日が一転、イゾウ隊長が来てくださりその背中におぶってここまで運んでくださったのです。優しかったし力強かったしいい匂いがして幸せだった」
「はい、はい、分かったよい、愛しの隊長様に礼でも言ってこい」
「はっ!そうする!──って痛だァ!!」
「走り出そうとするんじゃねェよい、ったく」




サッチ

「人類皆カレー好きと思うなよ」
「この曜日はこれって決まってんの。厨房としても助かんのよ、手間かかんねェし。ニンジン桜の花びらの形にしてやるから許して?」
「…………」
「(考えてる)……特別にナナシのご飯はクジラの形に盛ってやるから」
「ぐ……!」
「ルーの中を泳ぐ姿はまるでモビーの様」
「ぐぐ……っ!」
「頂点には旗も立てる!」
「頼もう!!カレーを!!」
「(かわいいヤツ)」




エース

目を合わせない近づくと離れていこうとするエースが俺をきらっているのではなくどうやら逆らしいと気づき始めてからわざと距離を近づける様なスキンシップを取ってみた。やれ人と話すときは目を合わせろだの、やれ子供じゃねェんだから口周りに食べカスつけるなだの、積極的に触れていき顔をこっちにぐいぐい向けさせる。はじめは全身を火照らせるウブな反応を楽しむ目的だったがこの頃は──。

「おい!ナナシ!顔が近ェ……!事故ったらどうすんだ!?」
「エースになら〜くちびる奪われても構わねェのよ〜」
「ぐぬっ」

絡み酒。からのいつもの調子。ちがったのはその先、エースが両手で俺の襟をガシッと掴みぐいっと引き寄せ────……。

「……どうだ」

いつも揶揄ってくる仕返しだと言わんばかりの眼力。今、俺は、エースと衝突事故みたいなキスをした。というかされた。周りは唖然。俺も唖然。突然の出来事ながら、引き寄せられるときエースが呼吸をストップさせ目をぎゅっと瞑りくちびるを真一文字にさせているのがよく見えた。精一杯勇気をふりしぼって実行したんだろう。それで『どうだ』……って。
とても可愛かったので、舌入れてキスしてやった。




サボ

「またかよ!めんどくせーーー」
「頼む、まだ燃やしちまうんだ」

メラメラの実の能力のコントロールが上手くいってないことは知っている。だからってなんで毎度俺に代筆頼みに来るかね。コアラにでも頼んどきゃいいじゃん、報告書作成とか。

「──────……かくかくしかじか」
「なァサボよ……」
「? なんだ?」
「お前、ほんっっっとうに毎度こんな丁寧に書類書いてた?」
「(ドキ!)あ、ああ。……なんだよ、疑うのか?」
「…………いや……わりィ。こんなことに時間かけたがる理由とかねェわな」
「………………」

机に向き直った俺は、目をそらしたサボの顔を見逃していた。




ボルサリーノ

トントン、と肩を叩かれたので振り向いたらぷにっと頬に埋まる誰かさんの指。

「……あの、ボルサリーノ大将……?」
「ナナシ君の頬は〜、柔らかいね〜〜」
「はァ。そうでしょうか……」
「そうだよォ〜〜。ほらァ、こんなにものびるじゃねェかァ〜」

イタズラ成功!やられたあ〜!といったリアクションをする間も設けられず今度は頬をつままれ横へとのばされる。おい、やめろ。戦桃丸が恋しいのか知らんが。なんなんだ、このオッサン。




クザン

倍近くある手に手を合わせて驚愕。

「あたたかい……だと……!?」
「おれのことなんだと思ってたの」
「ヒエヒエ人間……?」
「まちがっちゃいねェが……」

不意に指のすきまに指を通され握られた。

「これで分かった?冬におれに近づいても寒くない。手だって繋げる」
「繋ぐ場面なんてあります?」
「いいじゃないのべつに」
「いえ全然よくありません」

冷てェの、とヒエヒエ人間に言われてしまった。




スパンダム

「4年かァ……4人共元気かな〜」
「……」
「僕は元気じゃないな〜。かわいいかわいいカリファとカクに癒されたい、ルッチに血腥い任務押しつけたい、ブルーノという安心感のかたまりが傍を離れてもう4年!残されたメンバーの性質から潜入系の任務が僕に集中しやすいし至って元気じゃないな〜〜」
「…………」
「誰だろうな〜……人員を半分も割いてこんな長期的に穴開けるろくでもない任務を出してしまったの。どこのデコパンダだろうなァ〜〜??」
「誰がデコパンダだてめェ!」
「おや、長官。そこにおられたのですか」
「此処は長官室だ!」
「まァいっか、ファンクフリード僕にください」
「なにも良くねェだろうがッ!────あっちィ!コーヒーこぼした!」
「フククッ」
「笑うな!!」




ルッチ

『俺が死んだらルッチはどんな顔すんのかなーって。見てみたいんだよなァ』

戯言をほざいていた男の双眼は今や白く濁り対光反射も起こさず瞬きもしない。

『悲しまねェとは知ってんだけどさ』

当然だ。だいたい死んだあとに見たい≠ニはなんだ。幽霊にでもなるつもりか、馬鹿ばかしい。

『でももしかしたら……すんげーブッサイクな面して、寂しそうにしてくれてるかもしんないじゃん?』

一点を見つめ続ける顔の角度がちょうど脇に立った此方を向いていたのでしゃがみ、指先をあて、その瞼をとざした。
うしろで野良犬がなにか言っている。珍しい?死人を悼んだとでも思っているなら見当違いもいいところだ。万が一にも像が残ることのないよう網膜への光を遮断したに過ぎない。ただそれだけのこと。




カク

立派な船大工になるにはまず体力作りからですかね?と俺はルルさんに話しかけていたはずなんだがなぜかカクに体力作りを手伝ってもらうということになっていた。翌日早朝からランニングと筋トレそののち出勤とか鬼ですか。

「もうバテたのか?貧弱じゃのう」
「いきなりで、ハード、すぎるんだって……!」
「ワシを見ろホラ、この通りまだまだ余裕じゃぞ?」

こいつぜったいコーチ向いてない。




パウリー

「最近さ、パウリーが俺を見るなり大口あけてはっ≠ト息吐いたかと思えばバッて口両手で押さえてどこかに駆けてくんだけど……俺、あいつに何かした?」
「したと言えばしておるし、何もしとらんと言えば何もしとらん」
「カク知ってんの!?教えて!俺パウリーにきらわれたら生きていけない!」
「その点は平気じゃないかのう〜」
「どういうこと?」
「ひとまず、上の服を着てやれ」
「は……?もう貧相な見た目してないだろ?」
「あっちも最近湧いた感情に戸惑っておる感じじゃからのう……。変化を望むなら、そのままでもありじゃと思うが」
「ちょ、ちょっと待って!俺にも分かる様に解説して……?」
「さァてと。仕事するかの!」
「カクさあああん!」

:(あいつら仲良いな……クソ)




ゾロ

2年前のゾロは服のセンスがやばくてそのお陰で抑えられていたフェロモンみたいなものがあったと思うんだけど今のゾロの装いはペローナさんに見繕われたものなのかカッコイイde賞ハナマル満開桜吹雪でしかなく長いこと会ってなかった所為もあるかな好きと格好いいの気持ちが溢れて溢れてしょーがない胸がいっぱいどうしよう。

「久しぶり、ゾロ……格好よくなったね」

あいさつした瞬間、ゴッと凄い音がした。



ぼやぼやフワフワして一見すれば頼りない野郎にしか見えていなかったそいつは久しぶりに会ったとき背筋がすっとのび成人の落ち着きを身に付けていた。伸びた髪にメガネの所為か。笑い方まで落ち着いていやがる。口を控えめにひらいて目はやわらかく細め──。

「久しぶり、ゾロ……格好よくなったね」

ゴッ。近くのマストに自ら頭をぶつけに行った。大丈夫だ、問題ねェ。この男が燐光を放って見えたことの方が問題だ。柄にもない感想まで頭を過った。

(きれい≠セと……?男に言う言葉じゃねェだろうが!)




サンジ

サンジが帰って来た。朗らかな顔で帰還した。良かった。ルフィのことだから必ず連れもどしてきてくれる大丈夫に決まってると信じながらもまた会えるまで不安は拭い切れなかった。久しぶりのサンジのメシで泣いてしまったのは、安心したからだろうな。

「ナナシ──。お前どうして泣いてやがったんだ。味変わってたか?」

メシのあとサンジがそんなふうに尋ねてきた。みんな笑顔で食べてたから一人だけ目立ってしまったんだろうな。わざわざ尋ねに来てくれるとか優し。

「ううん、いつも通りめちゃ旨かった。いろんな感情バーって溢れてきちゃったんだよ。サンジのメシだーとか。うめー最高やっぱりサンジじゃなきゃなーとか。うれしいーとか。安心したーとか。やっぱサンジのこと好きだーとか」
「えっ?」
「重く受け止めんなよ、せっかく帰って来たのに居づらくなられても困るし。でも伝えてなくてすげー後悔したから、もう言っちまう。どうこうしたいとか何かしてほしいとかじゃねェから。これからも麦わら一味のサンジとしてよろしくな。改めておかえり、サンジ。一緒に旅できてスゲーうれしい」
「お、おう……」

俺だけスッキリしてこれからの日々をサンジが悶々として過ごすことなど1ミリも想像できていないのであった。




狂死郎10/26
(ハッピーバースデー!)

昔むかし、九里にいた頃のお話。イチョウの葉を、傳ジローへの贈り物だと言って渡してくる年頃の近い少年がいた。イヌネコの様に外から流れ着いたというその少年曰く、外では生まれた日は盛大に祝うものであるらしい。銭がないからと一等きれいなひとひらを探したそうだ。切れ込みや虫食いもなく立派な扇形をした黄金色の葉は、傳ジローの蔵書のよい栞となったし、見る度よい気分にもさせてくれた。気心の知れた城の者達にすら誰にも教えたことのない傳ジローだけの宝物だった。今はもう、すべて焼け失せてしまったのだけれど。



「……これは」
「とてもきれいなイチョウの葉だと思いませんか?狂死郎親分」

気づいていない。気づく筈がないと思っていた。

「……なぜ拙者に?」

なぜこの日に、これを渡すのか。姿も名も様変わりした居眠り狂死郎≠ノしか会っていない筈だ。短い沈黙がながれる。ナナシは静かに目を合わせ微かにほほえんだのち、さも当然の様に告げた。

「まっすぐ立つ雄大なイチョウは……あなたによく似ています」

────猫背のひどい男に、よく言ったもんだ。


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