座右の銘は有言実行と言っても良いようにシロナさんは翌日しっかりシンオウリーグと全ジムを休みにしました。
昨日の今日でよくリーグがそれに応じたと思ったけれど、初の女性チャンピオンになるような人だし、綺麗な顔をしていても気は強い。きっと押しと脅しでどうにかしたんでしょう。

「よし!」

ナギサジム前。今日は静かです。
まぁナギサジムは基本的にあまり挑戦者がいないですから轟くのはポケモンたちの鳴き声でなくジム改造の機械音であって改造してない時以外は静かですけど!

「まったくデンジさんも学習しませんね〜このくらいのセキュリティ解除なんて御茶の子さいさいですよ!」

だいたいジムのセキュリティシステムってデボンのだから解除キーも手に入らない事もないですもんね。
さぁて、今日はどこの改造してるんでしょう?私室ですかね?



□□□



「たのもー!!」

「!…な、お前どうやって…!セキュリティは完璧なはずだぞ!」

「あんなの!自動ドアの如くスムーズに開きましたよ!」

「デボン全然ダメじゃねーか…簡単に解除されてんぞ…」

セキュリティの事なんてどうでも良いんですけどね!
それより!!

「デンジさん、何で私の事避けるんですか?」

「何でって…」

「デンジさんが私の事が好きになってるのはわかってます」

「な、んだと…?」

「あんなにわかりやすい態度取られて気づかないほど私も馬鹿じゃないんですよ」

「……」

「私が何を言いたいかわかりますか…?」

「お、おい…」

声のトーンが下がり俯いて歯を噛み締めて震えるライラにデンジも焦りが隠せない。
常にふざけていて、変態で、掴み所のない、そんなライラが何かに耐えるように床を見ている。

「ライラ…」

「会ってくれないなら……会ってくれないなら、パンツの一枚でもくれたら良いでしょうー!!?」

「……………え?」

「私は!デンジさんに好きになってもらってもそれで会えなくなるのは嫌です!それなら今までのままで良いんですよ!どうしても会いたくないならパンツ下さい!」

「お前、さっきのシリアスな空気はなんだったんだ…てかパンツなんて誰がやるか!この変態女!」

「くれないなら奪うまでですよ!」

「……っ!」

獲物を狙う肉食獣の目を向けられデンジは背中をはいずり回るような悪寒に襲われた。
その怯んだ一瞬にライラはデンジに飛び掛かる。

「てめ!こら、離れろ!」

「脱ぎたてのパンツを頂いたら離れますよ!」

「ふざけんな!」

「至って真面目です!!」

「このっ…!」

「わっ!」

ぐるり。
火事場の馬鹿力というのだろうか、変態的な力で押さえ付けられていた身体を反転させ今度はデンジがライラを押さえ付ける。

「ち、ちょっと!デンジさん!まだそんな、心の準備が…!」

「何言ってんだお前…」

「あ、でも嫌とかじゃなくて、むしろバッチコイなんですけどね!」

「君たち、何をしてるのかな…?」

「「!」」

何というバッドタイミング。
二人組が見た先にいたのは…

「ダイゴ…」


『あいつ』だった。








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