デンジさんに追い出されてから三日。 彼は一向にジムから出てこない。そして私は一向にジムに入れてもらえない。 トレーナーの皆さん(チマリちゃんまでもが!)は私の姿を見るなり慌てて入口を守る体勢になる。 「ちょっと落ち込む…」 くっそ〜シロナさんに言い付けてやる!! 「フリーザー、リーグまでお願い!」 ガブリアスは飛べるくせに『そらをとぶ』を覚えてくれないからいつもフリーザーを呼んでしまう。 彼に乗ってると少し、いや、かなり目立つんだけどね。(なんたって準伝説級) □□□ 「シロナさーん!!」 「あ、来た来た。やっほーライラちゃん。久しぶりね」 「お久しぶりです!」 「いきなり『今から行きます!』とか言うからびっくりしちゃった」 「すみません。ちょっと色々とままならなくて…」 「ううん、私もライラちゃんに会いたかったから調度よかったわ。ゆっくりお話ししましょ?」 「うぅ、シロナさん優しい…」 何だか受け入れられたの久しぶりな気分。 思わず涙がこぼれちゃいます。だって女の子だもん。 「もう、何泣いてるのよ。女子会始めるわよ!」 「あれ、女子会でしたっけ?」 「いいから座る!はい、ライラちゃん最近デンジくんとどう?」 「いきなり核心!まさにその事について話したかったんですけどね!」 「まぁそうでしょうねぇ…(この間デンジくんもオーバの所に来てたし)」 シロナさんにマツバの所に行った事から全て話した。 もちろんデンジさんがナギサジム総動員で私を避けている事も。 「何だか面白い事になってるわね〜」 「面白いって言ったら面白いですよ?だけど会ってくれないとどうしようもないじゃないですか!」 「そうね。じゃあ明後日シンオウリーグとジムを丸一日お休みにするわ。その時はトレーナーも来てないから乗り込めるでしょう?」 「なるほど。それにしても急ですね」 「問題を片付けるなら早い方が良いでしょう?」 「まぁ、そりゃそうですが」 「じゃあ決定ー!」 シロナさんテンション高いです! そのテンションの高さと横暴さは私の個性なんですから取らないでくださいよ!! アイデンティティの喪失に繋がりますから! 「何言ってるの。ライラちゃんから一つ二つ個性取ったくらい大して変わらないわ」 「まぁそうですね!」 「それよりもちょっとライラちゃんの耳に入れておきたい事があるんだけど」 「何ですか?」 「そろそろ奴が動きはじめるわ。」 「あいつが!?それは確かですか!」 「えぇ。今回は本気で連れて帰ろうとしてるみたいよ」 「うざい!いい加減に妹離れしてほしいです!」 「彼、相当のシスコンだからそれは無理ね」 『奴』とか『あいつ』とかいうのは私の兄でして、特殊な性癖を持った生粋の変態です。 特殊な性癖とは主に無機物に興奮を覚えるといったところでしょうか。 全く、私が常人に思えますね!え?思えない?いやいや。 「とにかく、気をつけといて損はないわよ」 「はい、ありがとうございますシロナさん!」 あいつが行動を始めたなら私も準備くらいはした方が良いですね。 まず手始めにオーバさんにポケモン借りますか。 ←→ |