知っていた驚愕の事実



「……えっと、どちらさま?」


四国の妖怪達が攻めてきて組は解体、父親は死んだ。
今まで自分のことを人間だと思っていたが、あの時の尋常じゃないほどの怒りと血の騒ぎによって理解する。

受け入れれば後は楽だった。

血の命令するまま、本能のままに本家の門を叩くと時間こそかかったが仇討ちは終わった。

後は父の意思を継いで組を守る。
それだけが猩影の生きる目的となった。


「あー…親父から、手紙預かってるんで届けに来たんですけど…」

「親父?」


見たところ自分よりも若い男…というよりも少年。
本当にこんな子供が狒狒の昔なじみなのかと疑ってしまうが、相手も妖怪だと思えばきっと間違いない。

辺りには他に誰かが住んでいる気配はないし、扉をノックした際に「狒狒か?」と出てきたから彼が魎なのだろう。


「親父って…狒狒?」

「え?はい」

「……え、狒狒の、息子?」

「え?あ、はい……」


目を丸くした少年たちは互いに見つめ合って数秒。



「っえええぇえぇええええええ!!?」



魎の絶叫が山に響くと山鳥たちがばさばさと羽音を立てて飛び去った。

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