悪いことをしたら悟らせましょう



気まずい。これは気まずいぞ。
なんで顔が赤くなった。
なんで視線を逸らしてしまった?

ああチクショウ、玉章の笑顔が腹立つ。
でも何か言ったらきっと酷いことされるに決まっている。
ちくしょう。


「随分と悩んでいるみたいだね」
「…誰のせいだよ」
「僕のせいじゃないだろう、気づかせてあげたんだ。感謝するべきじゃないか?」



気づかせた、とはどういう意味だ。
俺はこれっぽっちもそんな感情なんて持っていなかった。
全く持っていなかったのに、玉章が変なことを言うせいで意識してしまう。

あああ馬鹿みてぇ!



「ふふふ、ロミオとジュリエットというか、人魚姫というか」
「何が言いたいんだよ…」
「触れられない恋って面白いね」
「悪趣味だぞ!」
「否定しないなら、認めたのかな?」
「認めてねぇ!」



苛々するのは、誰も俺の話をちゃんと聞かないからだ!
玉章はクスクス笑って密談を再開する。
話を聞いたところで、俺は玉章の言う事を聞いて言われたことを実行すれば良いだけだ。

さっきまで魎がいた2階の窓を見上げる。
もういないことはわかりきっていたのに、少し残念だ。



いやいやいや、残念じゃない。
そんなわけない。



「ムカつく…」



魎の顔を殴ればスッキリするだろうか。
こんなにも集中力が無くなって、ぼうっとしたいのに頭の中はムカつくアイツの顔でいっぱいだ。


触れたいなんて思わない。
好きだなんてありえない。


ただただ腹が立つ。
文句を言わなきゃ気がすまない。

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