イルミ連載(娼婦タカラバコ | ナノ

 会いたくない男

「どうした?」

隣にいるクロロが心配そうに顔を覗き込んでくる

「なんでもない。行こ!」

気を取り直して腕に手を絡ませ会場へは入った

見つからなければ大丈夫、そう思ったが

「クロロ。久しぶりだね。」

ものの数分で見つかってしまった

「イルミ、久しぶりだな。お前も仕事か?」

「うん。そうだよ。
クロロってミーヤと知り合いなの?」

笑みを顔に貼り付け私は何も答えない
今日のイルミは髪の毛を後ろで束ねている
気品が出ているのが不思議だ。

「もしかして恋人って訳じゃないよね?」

「恋人だ。」

「・・・へぇ。」

イルミがこちらを見ているのがわかるし
なんだか怒っている気がする

「・・・今日はな。
冗談だから殺気を出すな。」

「今日は、ってなに。」

「パーティーのパートナーとして雇ってる。」

「え、ミーヤはそんな仕事もしてるの?」

「・・・えぇ。そうよ。」

「じゃぁ、今度はオレとも
パーティーに行こうよ。」

「お金を出してくれるならね。
クロロ行きましょ。」

「あぁ。じゃあまたな。」

早く人混みに紛れてしまいたかった
チラリとイルミを見れば目が合う

見なければよかった

と思った
まとわりつく視線が熱く、暗いものだったから

「ミーヤが休んでた理由はイルミなのか?」

「え?あぁ。
それはクロロが気にする事じゃないわ。」

まとわりつく視線を感じながらも
誘うようにクロロの頬に手を添えると
腰をグッと掴まれキスをされる

「煽るな。今日はお前を抱けないんだからな。」

「ふふふ、ごめんね。」

「それにしてもお前は顔が広いな。
ヒソカ、フィンクス、イルミと強者ばかり、か。」

「何故かしらね。妬いちゃう?」

「あぁ、妬けるよ。」

クロロも口元に笑みを浮かべ
クスクスと笑いながらもう一度キスをする
誰か1人のモノになるつもりはない

クロロは美形は目を引く
こうして牽制しとけば仕事の邪魔に
なるような女は寄ってこない

しばらくは一緒にいるが
クロロがこの建物の構造を調べるために
偵察へと行った

今日は最近出来たばかりの美術館の
お披露目パーティーなのだ
お金持ちばかりのパーティーは嫌いだ

上辺ばかり取り繕い、
面の下では相手を品定めしている
吐き気がする笑顔だ

「ねぇ、1人?」

「今はね。貴方も連れの女がいるでしょ。
私、今仕事中なの。構わないで。」

「大丈夫、オレのは人形だから。
あと、もう仕事は済んだ。」

「でも私は仕事中なの。」

人形?と疑問に思ったが
深くは考えない主義なので話を流す

「ねぇ、オレと抜け出そうよ。」

「嫌よ。
私、この後はクロロと予定があるの。」

「・・・へぇ。」

まただどす黒い何かが
まとわりついて息が苦しい

「・・・でも貴方のせいで
ベッドへは行けないけど。」

「え?クロロとヤらないってこと?」

「えぇ。そうね。」

「ふぅん。ならミーヤの事いっぱい抱いたら
他の男には抱かれないで済むってこと?」

「・・・そんなわけないでしょ。
質問ばかりで鬱陶しい。あっち行ってっば。」

「オレにそんなこと言うのミーヤくらいだよ。」

「お金が払われてない男と一緒にいたくないの。」

「払うよ。いくら?」

人の気持ちを察してくれないイルミには
溜息しかでなかった




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