イルミ連載(娼婦タカラバコ | ナノ

 全ては仕事

やっと開放された夜
逃げるようにホテルを飛び出し
すぐに迎えの車へと乗り込む

着いたのはお店であり、寮である建物
大体は2人や3人部屋だが
私は1人部屋を与えられている

部屋に帰りベッドへダイブする

「ミーヤ、おかえりなさい。
お疲れね。そんなに激しかったの?」

顔を覗かせたのはオーナーのアリスだ
金色の髪の毛を一つにくくり
背も高い彼女はモデルでも
やっていけそうな程に美しい

「本当もう疲れた。
激しいし執拗いし絶倫の三重苦。」

「ふふふ、それでもだいぶ稼いだわよ。」

「あとさ、オーナーは新規の客って知ってたの?」

「まぁ、そうね。
でも太客の頼みは断れないし
普段の3倍出すって言われたんですもの。
ごめんなさいね。」

ベッドに横たわる私のところにきて
頭を撫でられてしまえば
文句すら言えなくなる

「・・・しばらく休む。」

「えぇ、いいわよ。
何か欲しいものあったら言いなさいね。」

「はぁい。」

わざわざ部屋から出なくてもほしいものは
ネットで頼める
仕事以外では部屋から出ないし
人と関わることもしない
どんな女の子がこの店にいるのかも全く興味無い
自分の仕事だけをすればいい

そうすれば皆ほっといてくれて
アリスは私を大切にしてくれる

15畳ほどの部屋には
ベッドとパソコンとテーブル
あとは部屋にはトイレとお風呂もついていた
キッチンがないのは料理でもして
怪我などしては商品として使えないからだろう

こんな私を拾ってくれて
部屋や仕事を与えてくれるだけでありがたい
その仕事が世間的には嫌われているものだとしても

イルミの精は上質なものだった
お腹もいっぱいだし力もついた気がする


寝転がってるうちにいつの間にか
意識は薄れていく

部屋に備え付けられてる電話が鳴り目が覚める
部屋は明るくなっている
時計を見るともう昼もすぎている

「しばらく休みって言ったのに・・・。」

まだ寝ていたい気持ちを抑え
ノロノロと起き上がっていても
電話が鳴り止まないと言うことは
余程大事な用なのだろう

「・・・はい」

[寝てるとこごめんねー!
ミーヤは休みって言ってるんだけど
どうしてもクロロ様がパーティーの付き添いで
来て欲しいって言ってるの。どうする?]

「うーん、付き添いの仕事ならいいよ。」

[ありがとう!迎えをやるから
そのまま出ていいわよ。]

アリスは上機嫌だった
クロロも太客の一人だ
時々、性欲処理としてではなく
パーティーの付き添いなどの依頼を受ける

何をしているかは知らないが
お金が入ればそれでいい

コンコンとノックされる
迎えの合図だ

◇◇◇◇◇

専用のサロンでパーティー仕様に
磨き上げられた私は
クロロが用意したドレスと宝石を身につける

今日はギリギリまでスリットが入った
黒のロングドレスだ
シンプルなドレスに豪華な宝石の
ネックレスが映える
ヘアメイクも終わり
普段よりも大人っぽくなった自分をみて
これは誰なのかと不思議な気持ちになる

「ミーヤ様、お迎えが来ました。」

「ん、ありがとう。」

一息ついていると呼ばれて外へ出ると
着いた時は薄暗かっただけなのに
もうすっかり真っ暗だ

「クロロ、お迎えありがと。」

店の入口で待っていたクロロの腕に絡まる
高級そうなスーツを着ているのに
額のタトゥーを隠す為に
バンダナを巻いている
クロロじゃなければ似合わないスタイルなのに
様になるのはやっぱり顔がいいからだろう

「少し遅くなった。
昨日はやすみだったのか?」

「うん。
本当はもっと休むつもりだったんだけどね。
クロロからの呼び出しだから来ちゃった!」

はにかむように笑えば
頬に優しく手を添えられて掬いあげられて
優しく唇にキスをされる

「可愛いやつだ。」

客に呼ばれたら
相手のことを恋人として見るようにしている
そうすれば心からの言葉が出てくる

「あ、今日は私の立ち位置なに?
妹?恋人?」

「恋人だ。
ニコニコしてオレの横に立っていればいい。」

「了解!一晩よろしくね!」

用意されていた車に乗り込むと
フィンクスが不機嫌そうに運転席にいた
スーツを着ているがいつも
ジャージ姿ばかりなので変な感じだった

フィンクスも大事なお客だ

「フィンクス!
今日は運転手さんなの?」

「あぁ。お前がツレだって知ってたら断ったぜ。」

「ふふ、ヤキモチ?
フィンクスかわいい。
今度はフィンクスが呼んでね?」

ギューっと後ろから座席ごと抱きつけば
少しだけ機嫌が直ったらしい

「フン、たりめーだ。」

「ミーヤ、オレの前でフィンクスと
イチャつくな。」

「クロロ、ごめんね。」

クロロにくっつけば頭を撫でてくれる
運転席から舌打ちが聞こえた

パーティー会場に着くと
また、迎えに来るとフィンクスは帰って行った

言われた通りに恋人のように腕に手を添え歩く
パーティーのマナーも全てアリスが教えてくれた

会場で目に付いた人物をみて
思わずため息をついてしまった



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