◎ たたきわる
辺りから焦げる匂い、息苦しさで目が覚めた
軋む身体を起こして目を見開いた
周りが火で囲まれている
こんな体では逃げ出すことも出来ないだろう
ふと力を抜いく
もう全てどうでもよくなった
こんな時にイルミの顔が頭に浮かび
笑いが漏れた
「ふふ、馬鹿みたい。
なんで最後にあいつなのよ…」
出会って日が浅いのに変な執着を
みせられたからだろうか
死に際で頭がおかしくなったのかもしれない
煙を吸いすぎたのか意識が朦朧とする
「イルミの傍にいてもよかったかもね…」
不意にそんな台詞が口から零れる
「その台詞、忘れないでよ。」
目の前にあのイルミの顔がある
幻覚、幻聴?
死に際に脳が変になっているのだろう
「いいよ。
私の全部預ける。
イルミ、好きよ。」
死ぬ時くらいいいだろう
自分の思うまま言葉を紡いだ
目の前のイルミほ微笑んだ気がした
そして目の前は暗くなった
◇◇◇◇◇◇◇◇
消毒液の匂い…
「イルミ様、ミーヤ様が目を覚まされます。」
聞いた事のない男の声
「うん。じゃあ下がってて。」
目を開けると
いつものイルミがいた
「イルミ…?」
「ミーヤ、大丈夫?覚えてる?」
「うん…でも気づいた時には
周りに、火があって…」
大きな手が頭を撫でた
「ノストラードファミリーが
あの店を潰すために火をつけたんだ。
関係者は全て始末されてた」
「…え?なん、で」
心臓が大きな音を立てている
オーナーも女の子たちも全て死んでしまったのか
なんでそんなことになったのか意味がわからない
「政界にも進出しようとしてるみたいだからね。
娼婦館なんて体裁が悪い。
全て消そうとしてるんだよ。
ミーヤだけは助けれて本当によかった。」
マフィアなんて所詮そんなものだ
切り捨てていくのだ
その答えに納得がいく
「まだ休んでて。
怪我いっぱいしてるし。」
あぁそうだたまだ身体が痛い
おやすみ、と言われるがままに
意識を手放してしまった
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