イルミ連載(娼婦タカラバコ | ナノ

 最後の日に

仕事に行き、帰ってくる

甘い言葉を囁かれ
その言葉が毒のように身体を回る

イルミは蛇のようだ
ゆっくりとゆっくりと
毒を送りこまれている

約束の3日目

今日はイルミが仕事から
帰ってきたらもうお別れの時間だ

3日目は一緒にいるのかと思っていたのに
仕事に行ってしまった
意地になって寝ている振りをして
イルミを送り出さなかったが
イルミは怒ることも、起こそうとすることもなく
私の耳元で「かわいい、行ってきます。」と
囁き出ていってしまった

イルミが出ていき、暫くしてから
シーツから顔を出す

「なんで仕事なのよ。
最後の日なのに·····」

そう呟いてしまった自分にため息が出た

これだとまるで私が
この時間を終わらせたくないみたいだ
完全に毒されてるなと心の中で笑った

この部屋を出ていけば娼婦に戻る

綺麗に着飾った自分がお金の為に
誰にでも笑顔を振りまき脚を開く

それが日常

馴染みの客たちもそろそろ相手をしなければ
もう来ないかもしれない

気がつけばもう外は暗い

ゆっくりと部屋を出てリビングにいくと
テーブルの上に
お店の携帯と私のメイクボックスが置かれていた

とりあえず化粧をしていると
携帯が鳴る
見たことも無い番号だが
イルミだろう

「はい。」

[ミーヤ、ごめん。
今日帰れなさそうなんだ。
もしかしたらとおもって
ミーヤの荷物置いといてよかった。]

案の定イルミだった

「で?
私はこのまま帰ればいいの?」

[お店に期間延ばそうとしたんだけど
予約が詰まってるとかで
断れちゃったんだよね。]

私がイライラしていたが
少し苛立ったような声に変わり
胸がチクリとした

「また、呼んでよね。」

[当たり前。
もう少し待っててね。
ミーヤ大好きだよ。]

その言葉を最後に電話が切れた




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