イルミ連載(娼婦タカラバコ | ナノ

 結び直し

「いるっていうか、
捕まえてるの間違いでしょ。」

「この空間ににミーヤが存在してる事が
嬉いいよね。」

無表情だがなんとなく雰囲気で
嬉しそうな感じが伝わる

「嬉しそうね。」

「嬉しそう.......?」

首を傾け
何を言っているのか
分からないといったように
ききかえしてきた

「雰囲気がそんな感じ。」

「ふぅん。」

他人事のような返事にこちらも首を傾げる

「自分のことなのにわからないの?」

「暗殺者になるために育てられたからね。
人の感情について教えてもらってない。」

イルミの行動が強引で自己中心的な理由が
少しわかった気がした

頭にあった手がそっと頬に降りてきた
無表情のままで真っ直ぐに見つめられる

「おれが初めて欲しいと思ったのは
ミーヤだけ。
今まで女なんて全部同じだったのに
ミーヤだけが色づいて見えた。
ミーヤを手に入れるためならなんでもできる。」

私を手に入れたい男たちは
甘い言葉を無責任に言い放つ
大切にしなければならない妻子がいても
色欲に溺れ破滅していく姿を何人も見てきた

イルミの言葉もその人たちと変わらないはずなのに
心の中に染み込んでいく

「・・・バカ」

なんとか絞り出した声は掠れていた

「なんで?」

「そんなこと、真っ直ぐ言わないでよ。」

「思ったことを口にしただけ。」

顔が熱をもっていくのが自分でもわかる
慌てて顔背けるが頬を捕まれ
イルミの方に向かされる

「どうしたの?」

「なんでもない。」

「そ。」

素っ気ない返事をしたくせに
唇を重ねてくる
本当に自分勝手な男だ

全くこちらの機嫌を伺わずに
したいようにしている

でも嫌じゃない



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