イルミ連載(娼婦タカラバコ | ナノ

 見知らぬ場所

「ん…、」

目が覚めると見覚えのない天井

何かを飲まされ意識を失っている間に
移動したらしい

部屋の中にはベッドしかない
白色を基調とした部屋には
自分以外に何色もない
全てが白色だった

窓もない部屋は今が何時なのかも分からない

食べ物でお腹を満たしていた時は
大体の時間を把握できたが
今の身体になってからは
全くわからなくなっていた

白い扉が2つある
ベッドから近い扉と
遠い所にある扉
きっと遠い扉が出口なのだろう

「イルミ!」

大き声を出して見るが
なんの気配もない
きっとイルミは仕事に行ったのだろう

はぁ、と小さい溜息をつき
ベッドから降りようとすると
足首に違和感があった

勢いよく布団を捲ると
左足首に足枷がつけてあり
長めのくさりがついていた

自室の部屋2つ分はあるこの部屋と
鎖の長さは比例していない

近い扉までならいけるのだろう
きっとトイレやシャワー室のはずた

「…なにしてんの、あいつ。」

お金で買われた身だ
逃げるわけなどないのに

動くのもめんどくさくなって
ベッドの中へと戻る
足枷は痛くないように工夫された
柔らかい素材だががっちりと
鎖がついているので外せそうにはない

あの男は私なんかを拘束して
何をしたいのだろう

時間がどれほど経ったかもわからないが
ひたすらにベッドの上でゴロゴロとしていた
こんなにゆっくりできたのは久しぶりだ

カチャリと鍵の開く音がした
勢いよく起き上がると
いたのは予想通りイルミだ

眉間に皺を寄せイルミに足みせる

「ねえ、これどういうこと?」

「ただいま」

「私、逃げないよ?」

「ただいま」

「…おかえり」

きっと正しい答えをいわないと
続くであろうやりとりに
ため息をついた

「ミーヤがいるっていいね。」

音もなく近づいてきたイルミが頭を撫でた



prev|next

back

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -