イルミ連載(娼婦タカラバコ | ナノ

 もっと、もっと、

冷めきった身体が小刻みに震えるのに
イルミの機嫌はよくなったらしい

「さむい・・・」

「ミーヤが悪いんだよ?
こんなことオレだってしたくないけど
ちゃんと洗い流さなきゃね。」

私のせいじゃないという言葉をぐっと飲み込む
まるで宝物のように丁寧に拭かれていく身体

「ミーヤはほんとにキレイだね。」

「・・・私自身が商品だもの。」

「そうだね。
でもこれを維持してるミーヤはすごい。
年のおかげだけじゃないよ。」

若いからだ、と言おうとしたのに
先手を打たれて何も言えなくなった
そんな褒められた方をしたのは初めてで
皆、私の外見ばかり褒める
それでいいとおもっていた
誰にも私自身をみてほしいなんて思ってない

「ふん、努力してるもの。
私は私で稼いでいくもの。」

「もうしばらくは、 ね。」

ポソリと呟かれた声は聞き取れずに
暗闇に消えていく

頭を拭かれていて目の前が暗闇に覆われる
唇には温かく柔らかい感触

侵入してくる舌に応えた
しばらくするとそっと唇が離れていく

「ミーヤはどこかに行きたいとかないの?」

「行きたい場所があったとしても
私は自由に行けないよ。
だからそんなものないの。」

「なら、いけるならどこがいい?」

「うーん、考えとく。
今はわかんない。」

「なら、オレとの時間が終わるまでに考えて。」

「変なの・・・。
そんなこと聞かれたことも無いよ。」

クスクスと笑ってしまった

本当に変な客だ
まるで私自身に興味があるようで変な感じがする

「ふきおわったよ。
オレにミーヤの身体をくれる?」

「ふふ、『今は』いいよ。
私はイルミのもの。」

手を差し出せば優しくとり
手の甲にキスをされた
まるで王子様がお姫様にするように




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