◎ 趣味
窓から入る光が眩しくて
カーテンを引っ張る
まだ寝ていたい
そう思うのにベッドに置いてある電話が鳴り響く
のそのそと電話をとり耳に押し当てた
「ミーヤ!
今日休みのところ悪いんだけど
ボスがお呼びなのよ。」
この店を仕切っている
新興マフィアと呼ばれている
ノストラードファミリー
娘の能力のおかげで成り上がったと言われて
反感を買っているようだが
居場所をくれるならどうでもいいことだ
「うーん、わかった。
すぐに用意する。」
オーナーに拾われてすぐに
ボスに紹介された
紹介というかあれは
商品になるかの品定めに近い
財はあるのに店をしているのも
ボスの気まぐれなのだろう
◇◇◇◇◇◇
いつものボス専用の部屋に通される
薄暗い部屋はソファとベッドしかない
窓もない部屋に来る度に鬱々とした気持ちになる
「ミーヤ、よく来たな。」
「お久しぶりです。」
床に手をつき額を床に押し付ける
顔を上げていいと言われるまで
上げてはいけない
「顔をあげるんだ。」
「はい。」
髭を生やした年配の男がボスだ
ライト=ノストラード
時折呼ばれて抱かれる
娘の事を溺愛していると聞くが
ストレスもあるのだろう
苦痛に近い痛みを与えられ
抱かれることがだいたいだ
何人かの女はこの男に
抱き潰されているようだったが
私はなんとか乗り越えているので
気に入られてしまったらしい
抱かれること自体はいいが
痛いのはやはり嫌だ
「さぁ、服を脱いでこちらに来い。」
覚悟を決めて立ち上がり
ボスの元へと足を動かす
◇◇◇◇◇◇◇◇
数時間後、開放され
よろよろと部屋へ戻る
体には縛られた痕と
首を締められた痕がついていた
「あー・・・しんど。」
小さく呟いた
帰ってくる途中にすれ違った女の子は
怯えた目でこちらを見ていた
ボスの趣味は周知されていて
次は自分じゃないかと怯えている
こんな思いをしていても
出ていけない惨めな自分
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