イルミ連載(娼婦タカラバコ | ナノ

 願望

電話が鳴っている
すぐ近くで鳴っているはずなのに
どこか遠くで聞こえる

意識がぼうっとしていて
現実と夢の間が曖昧だ

「ヒソカ、なに?
忙しいんだけど。」

イルミが私を揺さぶりながら
平然と電話をとっている

「うん。わかった。
ミーヤ?いるよ。
は?予約なんかしないでよ。
オレのものだよ。じゃあね。」

携帯を枕元に置くと
キスをされた

「ヒソカが予約とりたいんだって。
オレのモノなのに何言ってんだろうね。」

誰が!と罵ってやりたいのに
そんな気力はない
お腹がいっぱいでもう何も考えたくない

「イルミ、やすみ、たい。」

乾いた声を絞り出すと
優しく頬を撫でられた

「疲れた?
いいよ。とりあえず出すね。」

さらに激しく腰を打ち付けられ
悲鳴に近い嬌声をあげた

◇◇◇◇◇

終わっても身体を動かすことができない
汗と精液をベタベタしていて気持ち悪いのに

「水飲む?」

「うん・・・」

ペットボトルを渡してくれればいいのに
水はイルミから口移しだ

飲みきれない水が首筋を伝うと
それをイルミが舐めとる

「お腹いっぱいになった?」

「胃もたれするぐらいに。」

「そ。
それならまたしばらく
客は取れないよね。」

「・・・それが狙い?」

眉間に皺を寄せ睨みつけるが
イルミは悪びれた様子もなく
さも当たり前のように頷いた

「呆れる」

イルミから離れたくて背を向けるが
効果がないのは知っている
身体を向けた方にイルミも
寝転がり抱きしめられる

「ミーヤ、ミーヤ。
いっぱい時間はあるし
SEX以外もしよう。
欲しいものない?」

「すっごく高い宝石」

意地悪のつもりで言ったが
携帯で何かを探して
あった、と呟くと
何億ジェニーもする
宝石の画像を見せられ
鳥肌がたった

この男は私が欲しいものなら
なんでも手に入れてきそうだ

「嘘だってば!
冗談!宝石なんかいらない。
今欲しいものをのんびりとした時間!
今すぐにね!」

「冗談なの?
ミーヤの冗談ってわかりにくい。」

のんびりとした時間に関しては
完全にスルーされ
イルミは都合の悪いことは
耳に入らないらしい

抱きしめていた身体を
離され顔をあげられると
まじまじと見られる

「ミーヤはどうして
そんなに可愛いの?
オレが初めて見た時よりも
すっごく綺麗になってるし。」

汗でベタついて化粧もしてない私の顔を見て
吐くセリフではない
一体イルミにはどうやって見えてるのか
不思議でならない

「ストレスがない生活してるからじゃない。」

「あーあ。
ミーヤをもっと早く見つけてれば
店なんかに取られる前に
オレのモノしてたのに。
まあ、するけど。」

「・・・後半は聞かなかったことにする」

これ以上、見つめられるのはさすがに
恥ずかしくなってイルミの手を払い除け
イルミの顔を胸に埋めると
嬉しそうに腕が身体を包んできた




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