05世界はきみだけ [ 6/43 ]

ツボネと一緒に帰宅し部屋へと帰り
1人でソファに座り勉強していると
テーブルの上にある花瓶に
枯れかけている花があった

「可哀想に・・・」

そっと花に触れ
(元気になりますように)と思うと
指先が温かくなり下を向いていた花が
摘みたてのように潤い上を向く

最近なぜかできるようになった事だ
あまり痛くなく傷がつかないとは言え
かすり傷くらいはできるので
イルミ様に心配をかけたくないと思い
傷に触れると傷口が何事も
無かったかのように元に戻ったのだ

「よかった。」

「それ、なに?」

「イルミ様、おかえりなさい!」

いつの間にかイルミ様が
後に立ちこちらを見下ろしていた
気配もなく帰ってくることは
常なのでもう慣れている

「ただいま。で、今のいつからできるの?」

「わからないの。気がついたらできていて・・・。」

「ふぅん。」

服に刺している針を抜き
おもむろに服の上から自分の腕に刺し
あろう事か腕を引き裂いた

「イルミ様!?」

「これも治せる?」

平然としているイルミ様
血が滴り落ち床に血溜まりができる
心臓がバクバクとうるさい

慌てて立ち上がりイルミ様の傷口に触れ
(治れ・・・!)と念じれば
みるみるうちに傷が治っていく
そして数秒後には傷跡さえもなくなった

「よかっ、た・・・」

こんな大きな傷は治したことがなく
慌てたからか額に汗をかき
髪の毛が張り付いているのがわかる

手を握ったり開いたりを繰り返しこちらを向く

「服は無理だけど人や植物は治せるのか」

「そういえば、衣服などは直らないかも・・・」

思い返してみれば物は直らない
生命があるものしか治せないのかもしれない

そんなことを考えていると
大きな手が頬に添えられ上を
向かされたと思うと口付けをされる
いつもの触れるだけのものではない
口を開けろと言うようにイルミ様の舌が
唇をなぞる、恐る恐る口を開くと
舌が侵入して口の中を侵す

「んっ、!?」

口を閉じないようにと頬に添えられている
親指も口の中に入れられ閉じようもなく
されるがままになっていた

甘いような痺れるような感覚
息ができずに朦朧としているとやっと離されたが
熱に浮かされたようにぼうっとしていると
頭を撫でられる

「ニノ、その能力は人には
使ったらだめだよ。
オレだけのモノだから。」

息が上がっている自分とは違い
イルミ様は平然としていた

小さく頷けばソファに座った
イルミ様の膝に乗せられる

いつも以上に機嫌がいいようだ

そしてこの能力について説明を受ける

通常念能力は修行をしなければ
得られない力らしいが希に
先天的に使える人間もいるらしく
わたしはその部類に入るという

自分では気が付かなかったが
日常的に使えているらしい
あまり怪我をしないのも
能力で強化されていると聞き納得がいった

「人を治癒する能力は珍しい。
狙われる可能性もある。
わかる?」

「うん。」

「だから、オレが守ってあげる。
一生、オレといること。」

「イルミ様とずっと一緒にいるの?!
嬉しい・・・!」

首に手を回し抱きつくと抱き返してくれる
イルミ様の体温は
とても心地がよかった

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