37運命との再会 [ 38/43 ]

倒れる体が優しく受け止められる

「ニノ様、無駄な抵抗はおやめ下さい。」

意識が深い場所へと堕ちていった

◇◇◇◇◇

「ん・・・」

目を開けると見慣れない部屋

部屋の中には誰の気配もない
ベッドから降りて部屋を見渡した
清潔に保たれた部屋
壁には小さい女の子と両親の写真が飾られている
幸せそうな家族の写真

「私・・・?」

写真の中の女の子は
イルミ様に見せてもらった
幼い時の自分にそっくりだった

生まれてから3歳くらいになるまでの
写真が大きくなるように順番に並べられている

「それは君だよ。」

声がした方を見ると
扉のところに老人が立っていた

公園で話しかけられたあの老人だ

「君の母親が写真の女性だ。
私の店舗に娘だ。
何者かに殺され
屋敷ごと燃やされていた。」

「・・・殺された?」

「そうだ。
恨みを買うことも多い家業だからな。」

その家業がイルミ様と同業だということが
なんとなくわかる

「そう、なんですね・・・」

「しかし、やっと君を見つけた。
死んだと思っていた孫娘が生きていた。
それを知った時の喜びは
とても言葉では表現出来ない・・・!」

本当に嬉しそうにいう老人

「でも、私がそのお孫さんだという
証拠はないですよ?」

「いや、厳重に守られていた
君の情報をなんとか探り出せたよ。
そして悪いとは思ったが・・・DNA検査をした。」

扉のところから気がつけばすぐそばにいる
老人というには失礼だろう
それほどに機敏に動けている

「私の孫娘で間違いなかった!」

ぎゅっと抱きしめられて
嫌な気持ちはしなかった
それでも急に現れた人物を
祖父だとは思えない

「まさかあのゾルディック家にいるとは
考えもしなかった。
しかし情報が手に入って一気に動いた。」

「情報、ですか?」

「そうだ!君の写真と生い立ちを手に入れることが偶然できたのだ。
君はニノと呼ばれているね?
でもそれは本当の名前ではないが
混乱するだろうからしばらくはそのままでいい。」

嬉しそうな人に言うのも気が引けるが
どうしても聞きたいことを聞いた

「いつ、帰らしてくれるんですか?」

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