02タカラモノ [ 3/43 ]

自分の広い部屋にあるのは
専用のバスルームとベッドのみ
ベッドに寝かせてみると金色の髪が栄える
黒を基調とした部屋に光が灯った気がした

自然と口角が上がっていた

目を擦りながら小さな生き物は起き上がる

「パパ・・・?ママ・・・?」

いつもと違うと察したのか
不思議そうにキョロキョロと
辺りを見渡してすぐにオレに気がついた

「だぁれ?」

「お前名前は言えるの?」

質問には答えずに名前を聞くと
にっこりと笑う

「ニノです!3歳です!」

指を5本立てて自信があるように答える
そこでまた感じたことのない感情が湧き上がる
胸がムズムズする不可解な感情

「ニノ、お前のパパとママは死んだ。
今日からお前はオレと暮らす。わかった?」

「死ぬ?」

「もう会えないってこと」

首を傾げていたニノは
もう会えない、という言葉はわかるらしく
大きな目に涙が溜まっていく

「会えないの?」

「うん。もういないからね。
でもオレがいるから大丈夫。」

抱き上げるとニノは
泣きわめくことはせずに
オレの服に顔を埋めていた
弟のミルキを抱きしめたこともないが
ニノは柔らかくていい匂いがした

◇◇◇◇◇

「ちょっと、イルミ。
あの子どもに普通の食事を
与えているらしいじゃないの。
そんなことでゾルディック家の執事が
務まるのかしら?」

「母さん、アレはオレのなんだから
口出ししないって約束したよね?
仕事もきちんとこなしてるから
問題ないでしょ?」

まだ何か言おうとしたが
赤ん坊の泣き声がした
キルアだ
親父と同じ銀髪の赤ん坊は
将来有望だというのは直感でわかった
ゾルディック家全員がわかっているだろう

「ほら、キルが泣いてるよ。」

「この話は終わってないわよ!
すぐに、お母様が行きますからねー!!」

母さんの小言が短くてよかったと思い
部屋へと戻る

ここはニノとオレだけの部屋だ

「ニノ、ただいま」

「おかえりなさい!」

ゴトーに絵本を読んでもらっていたニノが
駆け寄ってくる

殺風景だった部屋は
ニノのものがこの1年で増えた

仕事中はゴトーが勉強を教え、
オレが帰ってくるまでの遊び相手だ

「イルミ様、お仕事お疲れ様です。
ニノ様は本日も勉学に励み、
遊んでおられました。」

「そ。もうさがっていいよ。」

深々と頭を下げて出ていく

本当はゴトーにすらニノを見せたくないが
こればかりは仕方がない

足にまとわりつくニノを抱き上げると
嬉しそうに笑う

ニノの笑顔はこの家には無縁のものだ
ゾルディック家には必要のないもの
だが、手放す気なんてない

ニノに毒入りの食事なんて必要ない

オレだけがニノを知っていればいい
早く、母さんも親父も
ニノを忘れてくれたらいいのに

「ニノ、おかえりの挨拶は?」

「あ、ごめんなさい。」

ニノがチュッと音を立てて
唇に唇を重ねる

2人だけの決まり
キスは挨拶だ

悪戯心が芽生え
ニノの唇をぺろりと舐めれば
くすぐったそうに笑う

自分はロリコンなのだろうか?
こんな幼い少女に自分の下腹部が反応していた



[*prev] [next#]
top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -