36希望が見えなくても [ 37/43 ]

イルミ様と出かけた日から数日
時折あの老人のことが気になっていた

ピンポーンといつもは鳴らない
インターホンが鳴った

出たらだめだと教わっている
とりあえず、テーブルにあったナイフを持ち
部屋の隅に隠れていると
カチリと鍵が開く音

今までにない緊張で身体が震えそうになる
イルミ様ではないことはなんとなくだがわかる

「ニノ様、お迎えに上がりました。」

部屋に入ってきたのは見たことも無い男達
黒いスーツを身にまとい隙がない

「ニノ様、出てきてくれますか?
手荒な真似はしたくないのです。」

声を出すのは5人の男達の中でも
1番華奢な男だった
それでも1番力をもっているのが
なんとなくわかった

今の私では勝てない

そう思い諦めて
部屋の隅から出ていくと
男はにっこりと笑った

「よかったです。
さ、参りましょう。
お爺様がお待ちですよ。」

「・・・私はどこにも行きたくない。
祖父なんていないもの。」

「それは後々、ニノ様のお爺様から
ご説明があるかと思いますので。」

動きたくないという気持ちが強く
足が動かない

もしかしたら触れたら逃げるかも、と思った
手を差し出せば男が
心得たかのようにその手を取る

あの少年にしてしまったように
触れてる部分の生命を奪い取ろうと思った瞬間
身体に衝撃が走った


[*prev] [next#]
top
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -