32叶わなくとも [ 33/43 ]

「イルミ、そんなに警戒しないでもいいだろ?」

「クロロの仕事は人のものを盗むんだから
警戒しとかないとね。」

「言い方がひどいな。
オレは自分が欲しいものを
手に入れてるだけだ。」

イルミ様の膝の上で
なるべく動かないようにしている
顔をクロロという男に向けるのも
嫌なようでぎゅっと抱きしめられていた

「その子をここに閉じ込めてどうする気だ?」

「閉じ込めてない。
ココが1番安全だからね。」

その言葉に異論はない
確かにココが1番安全な場所だ
セキュリティもしっかりとしていて
ネズミ1匹入ってこれないだろう

「なァ、過保護すぎるのも
よくないと思うぞ。
その子の能力をもっと使え。
オレなら存分に使うがな。」

「・・・どこでその話を聞いた?」

「それは言えないな。」

「ふぅん。
オレのものだから誰にも渡す気はないよ。」

「・・・そうか。
治癒能力は貴重だからな。
きちんと管理しておくんだな。」

クロロの立ち上がる気配がした
そのまま気配は消える

見送ることもしなくていいのかと思うが
それを口に出すことは無い

しばらくしてやっと抱きしめられていた力が緩む

「ニノ、大丈夫?
何もされてない?」

いつものイルミ様にほっと胸をなで下ろす

「うん。
何もされてない。」

「よかった。
何かされてたら
決まりを破ってでも
クロロを始末してた。」

決まり、とはきっとゾルディック家の
ルールのことだろう

ぎゅっとイルミ様の服を掴む

「怖かった?
大丈夫。ニノには手出しさせないよ。
うーん、それにしてもどうしようかな。」

「イルミ様・・・?」

「実は今度仕事の関係で
ハンター試験を受けるんだ。
その間、ここにニノを
置いておくつもりだったんだけど
クロロがまた来そうだし。」

珍しくうーんと唸るイルミ様を
じっと見つめると
イルミ様と目が合う

「まあ、それは後々考えるよ。
とりあえず、消毒しよっか。」

そのまま横抱きにされて
お風呂場へと連れていかれた

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