28覚悟 [ 29/43 ]

イルミ様が出ていってから3ヶ月が経った

あの夜からこの家には来てくれない
たまに電話がくるぐらいだ

夜には寂しくて涙が出た
泣き疲れて寝てしまうのが
日常になっていく

◇◇◇◇◇

泣き腫らしたニノの顔は
何度見ても愛おしい
ニノの髪の毛を撫でながら
口角が上がっていく

昼間のニノはカメラで見ているし
夜はニノが寝てから顔を見に来ている

この3ヶ月で少し痩せた身体
不安でいっぱいのニノを
眺めるのは嗜虐心が刺激される

ニノがオレを拒んだ罰はもう充分だろう

◇◇◇◇◇

何かに包まれている気がして目を覚ます
顔の前にある黒髪に驚いて
顔を上げるとイルミ様がこちらを見ていた

「イルミ、さま」

「ニノ、久しぶり。
寂しかった?」

「寂しかった・・・!」

「これはニノが悪いんだよ?
オレを拒むから。」

あの夜のイルミ様の後ろ姿を
おもいだして強く服を掴む

「ごめんなさい。
もう、どこもいかないで・・・
置いてかないで・・・!」

「ニノ、ならできるよね?
オレをがっかりさせないように。」

小さく頷いて震える手を
動かしながら服を脱ぐ

何が起こるかわからない恐怖よりも
イルミ様がいる平穏な日常に
戻りたい気持ちの方が勝った

顔を上げるとイルミ様がこちらを見ている
恥ずかしくて体を隠してしまいたかったが
きっと許されない

「ニノ、こっち来て。」

手を出されそっとその手に触れると
一気に引き寄せられ抱きすくめられる

「綺麗。
ニノ、本当にオレの物になる?」

「・・・イルミ様の物にして」

手を回してその温もりに縋るように
ぎゅっと抱き返した

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