22開花 [ 23/43 ]

ニノが机に向かい勉強をしている

その様子を携帯から眺める
ニノの学校での様子も全て
データとして保存してある

家だと笑顔でいるのに学校では表情がない

この家にいる時だけは笑顔なのだ

「ねぇ、それ見てて飽きないの?◇」

「飽きない。
家では見れないニノだからね。
でも、そろそろいいかな。
ニノが綺麗になっていくのを見るのは
オレだけでいいしね。」

休憩時間になり、ニノが何か
クラスメイトに話しかけられて
後ろを振り返る

カチリとボタンを押せば
アングルが切り替わる

「何個仕込んでるんだい?」

「ニノが行く場所には全てあるよ。」

呼びに来たのはいつもの生徒達だ
こいつらはニノに
暴力をふるっているのも知っている
それおかけで外ではニノが
心を閉ざしてくれている

「ニノが殴られてるのいいのかい?」

「まぁ、普通の人間よりは強いし
痛くもないと思うよ。
でも最近、こいつらニノを
《女》として見てきてるから鬱陶しいかな。」

「・・・へぇ。」

「ニノは色気も出てきたし。」

カチカチとボタンを押して
カメラを切り替えていく
案の定ついたのはいつもの部屋だ

いつもより人数が多い
そして少し興奮しているようだった

「ヒソカ、オレニノ向かいに行くから。
もう、ここもいらないし好きにしていいよ。」

「青い果実もない場所に興味ないね◇
ボクもこの後用事あるし帰るよ。
またね◆」

今いる場所はニノの学校だ
仕事帰りに寄って屋上から様子を見ていたのだ

携帯の画面ではニノが
床に押し倒され男子生徒達に
押さえつけられている姿が見えていた


◇◇◇◇◇◇

「離してっ!」

「大人しくしろよ!」

懸命に暴れるが5人の男子生徒に
肢体を押さえつけられてしまえば
さすがに身動きがとれない

服は引きちぎられ下着が顔を覗かせていた
少し膨らんできた胸にはブラジャーをしている

「こいつ!ブラジャーしてるぜ!」

「雑誌で見たようなやつだ!」

と下品な笑い声が教室に響く

苦しくて、悔しくて唇を噛み締めた

「このブラもとっちまおうぜ!」

イルミ様とお風呂に入っているとはいえ
他人に裸など見せたくない
気持ち悪さしか感じないのに
何故、この人たちは楽しそうなのか

ブラジャーに手をかけられると
悔しさが怒りに変わり
目の前が真っ赤になっていく感覚がした

男子生徒の悲鳴

「な、なんだよ!?!
こいつ!化け物じゃねぇか!」

押さえつけられていた体が軽くなり
生徒達が後ずさるのを感じた

そして目の前には下着に手をかけた男子生徒が
蹲り震えている

押さえている腕を見れば
そこにあった若者の手はなくなり
老人のように皮と骨だけになった
皺だらけの手が見えた

自分にも何がおこったのかわからない

周りにいる生徒達の怯えきった表情からして
私がなにかしたのだということは見てとれた

「ニノ」

聞こえてきた声
教室の扉を見ればイルミ様が立っている
これは幻覚なのだろうかと思ったが

嬉しそうな様子でイルミ様が
近づいてきたかと思えば抱き上げられて
現実だとわかった

この現状と得体の知れない男の登場で
生徒達は更に恐怖が増していた

1人が逃げ出すと
我先にと飛び出していってしまった

そして残ったのは
イルミ様と私と蹲る生徒だけだった

イルミ様は携帯を取り出し
どこかに電話をかけだした

動き出そうとした残った男子生徒に
どこからか取り出した針を投げると
倒れて動かなくなってしまった

「ニノの学校にいるから来て。
うん。すぐにね。」

電話を切ると額にキスをされる

「この人、死んだの?」

「ううん。気絶させただけ。
まだ、殺さないよ。」

「そう・・・。」

「ニノ、帰るよ。
ここの後始末は執事達がするから、
ニノは気にしないで。
疲れたでしょ。寝てていいよ。」

その言葉が魔法のように
眠りへと誘う

気がつけば瞼が閉じていた

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