13容易なことだとしても [ 14/43 ]

車や人や電車の行き交う、あわただしい風景だが
イルミ様といるとのんびりと感じる
飛行船でいつもの街より遠くへときていた

「ニノ、何か欲しいモノある?」

「んー。イルミ様とおでかけできることが
嬉しいからこれ以上欲しいものなんてないよ。」

カフェでのんびりと過ごす

運ばれてきたアイスクリームを
スプーンで掬い口に入れると
蕩けそうになるくらい甘い

「イルミ様!このアイスクリーム
とても美味しい!はい、あーん。」

スプーンで掬いイルミ様に差し出すと
パクリと食べてくれる

「甘い。ニノは本当に甘い物が好きだね。」

そのまま頭を撫でてくれた

「うん!美味しいもの。
ずっとここでアイスクリームを
食べていたいくらい。」

「でも、ずっとここにいるわけに行かないからね。
ニノが欲しいものなければ
オレがニノにあげたいもの買うよ。
だから食べたらでるよ。」

「はーい!」

久しぶりにイルミ様と出かけるのは
嬉しくて素早くアイスクリームも食べ終え
お店を出ると手を繋いでくれる
それが嬉しくて頬が緩む

一通りお店を周り沢山の服や靴を買ってもらった

「イルミ!久しぶりじゃないっ!」

急に声をかけられ振り返ろうとするが
すぐにイルミ様の後ろへと隠される

「誰?」

「ひっどい!何回かパーティーで
エスコートしてくれたじゃない!
イルミのお母さんには婚約者にどう?
って言われてるわよ。」

「オレはそんな話聞いてないけど。」

イルミ様に気安く声をかけてくるこの女性は
きっと同業者なのだろう

胸がチクリとして首をかしげた

「それより、その子なに?
妹?護衛の任務でもしてるの?」

「関係ないだろ。」

「えー、妹ちゃんなら挨拶しなきゃ!
未来の義姉になるかもしれないもの。」

「・・・さっさと消えてくれる?」

「なによ。あの晩の事忘れたとは
言わせないわよ?」

ふふふと笑う女性はどこか勝ち誇ったようだった

「穴はお前だけじゃない。
勘違いしないでくれる?」

「なっ、」

そう言って私の手を引きすぐにその場から離れ
飛行船へと乗り込んだ

「ニノ、変な女に時間とらせてごめん。」

少し苛立ったようなイルミ様に
小さく首を振ると唇にキスをされる

「忘れ物したからちょっと飛行船でまってて。
すぐ帰ってくるから。」

「うん!」

◇◇◇◇

「ねえ」

「あら、イルミ。
謝りに来たの?
気にしてないわ。妹ちゃんの前で
少し刺激が強すぎたかしら?」

ニノの代わりとして
穴を使ってやったであろう女が
まとわりついてくる
香水の臭いが鼻をつく
やはりニノとは違う

「ねえ、今晩空いてるわ。どう?」

「お前に夜は来ないよ。」

「え?」

頭を持ち少し力を入れると
ゴキゴキと音がなり
首が一周する

もとから薄暗い廊下で
呼び止めたこともあり人もいない
そのまま女の死体を放置して
ニノが待つ飛行船へと向かう

「遠くに来てもだめか。やっぱり、
ニノを家から出さないのが1番かな。
オレにしか見えなくなればいいのに」

アレはオレの目の前でだけで存在すればいい


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