10愛おしい君へ [ 11/43 ]

「おい、ニノを離せ!」

「このお嬢ちゃん、えらく美人じゃねーか。
そのへんのおっさんに売るか?」

男達は下品に笑い舌なめずりをする

「その前に味見でもするか?」

男の手が近づいてくると
ゾワゾワと肌が粟立ち
思わず男の手に噛み付く

「くそっ、噛みやがった!
このクソガキ絶対売り飛ばしてやるからな。」

思い切り手を振りあげられ
殴られる!と思い目をつぶる

「う、ぎゃぁぁっ!!」

男の悲鳴が聞こえいつまでも
予想していた痛みは来ない

恐る恐る目を開けると
男の顔に針が刺さり倒れていて
私を掴んでいる男の手が震えている
この針には見覚えがある

「イルミ様・・・?」

「兄貴・・・!」

「キル、これはだめだね。
守れないくせに人のモノを勝手に
持ち出すなんて。」

顔を上げるとイルミ様がこちらに歩いてくる

「お、お前なんだよ!?」

「うるさいな。
ニノに手を上げるなんて
命が惜しくないんだね。
オレが有意義に使ってあげるよ。」

ヒュンっと空気を裂き針が飛んでくると
男の首に刺さり呻き声もないまま
私を掴んでいた手が離れ倒れた

「イルミ様!」

男を避けイルミ様に抱きつくと
優しく抱きかかえてくれる

「兄貴!手出すんじゃねぇよ!
オレ1人でやれた!」

「やれたとしてもニノに
危害が及ぶようなことをしたのは事実だ。」

「助けれた・・・!」

「それなら、ニノが捕まる前に
全員殺してしまえばよかっただろ?
まだまだ甘いね。」

何も言えずにキルアは唇をかみしめる

「この男達は練習に使うから屋敷に連れて行って。
キルもね。」

「家になんか帰らねぇ!」

「うん。そうだよ。
キルはちょっとお仕置きしなきゃね。
今から天空闘技場に行ってもらうから。
親父もそうしろってさ。」

「はぁ?!」

私を抱えたままキルアの首根っこを掴み
ゲームセンターを出ると
キルアを車の中へ投げ入れる

「あ、そうだ。キル。」

キルアの額に触れたキルアは
何が起こったのわからない様子だったが
小さい針を額に埋め込むのが見えた

「はい、じゃあね。
200階に行くまで帰ってこれないから。」

「なんだよ!それ!」

もっと文句を言いそうなキルアを乗せて
車は発車してしまった

「イルミ様、キルアは大丈夫?」

「うん。キルならすぐ200階いくよ。」

「・・・何を刺したの?」

「『勝てない相手とは戦うな』ってやつかな。
人体に影響ないし。大丈夫。」

「そうなんだ・・・」

これもキルのため、と言うイルミ様を見て
弟思いなのだと思った

「あの男の人達はは?」

「あぁ、弟達の訓練に使うよ。
楽に死なせてあげるわけないでだろ?
ニノに手を出したんだから。」

ゾワっとした
表情が変わらないが起こっているのが
肌で伝わってくる

「そっか・・・」

呟くだけで精一杯であとは
イルミ様の服に顔を埋めるだけだった


◇◇◇◇
薄暗い地下牢で男の叫び声が響く

「ミルキ、そいつは1番いたぶって。」

「あぁ!暗殺器具の切れ味とか試せるの楽しいや!
やっぱり実験するなら本物がいいよね。」

太りすぎな気がする弟のミルキは
嬉々として男の体にナイフを突き立てる

「ぎゃぁぁ!もう許してくれ・・・!」

醜く命乞いをする男の喉元に
針をつき刺せば声はでなくなった

「他のやつは?」

「死んだよ。
だめだった?」

「全然。
いらないゴミだしね。
好きにしたらいいよ。
死体はゴトーにでも頼んで。」

「オッケー!」

男はびっしょりと汗をかき
ガタガタと震えていた
男の耳元でそっと囁いてやる

「人のモノに手を出したお前が悪いよ?
勉強できてよかったね。
来世は気をつけなよ。」

男の目からはボロボロと
涙が溢れ出て失禁する

「汚ねぇ!
漏らしやがった!」

「じゃ、あとはよろしく。」

そう言い残しニノが待つ部屋へと足を向けた


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