09望むならそうすればいいけれど [ 10/43 ]

意識がゆっくりと浮上していく
体が揺られているのがわかる

「ん・・・?」

重たい瞼を開く

「あ、起きた?
悪い。力加減間違ったかも。」

「キルア・・・?」

自分が何故キルアの膝を枕にしているのか
わからずとりあえず起き上がると
車の中だと気がつく

「ニノと遊ぼうと思ってさ。
今からゲーセン行こうぜ!」

「・・・だめ。帰ろ。」

「ちょっとぐらいいいだろ?
たまにはニノも遊んで
兄貴を忘れよーぜ。」

帰りたい、遊ぶの言い合いを
繰り返しているうちに
目的に到着したらしく車が停る

「キルア様、到着しました。」

「さんきゅ!
3時間くらいしたら
帰ってくるから適当に時間潰しといて。」

「かしこまりました。」

「行くぞ!」

キルアに手を強く引っ張られ
車を降ろされた

仕方なしに建物の中に入ると
薄暗く色々な音が混ざりあい
耳が不愉快だった

「キルア、ここうるさい。」

「ゲーセンだから当たり前だろ。
ほら!あの格ゲーやろうぜ!」

手を引かれたまま
大きなゲーム機の前に座るキルアの横に
小さな椅子をもってきて座る

対戦ゲームらしく向かいに座る相手と
勝負をしているらしい

キルアは目にも留まらぬ速さで
ボタンを押して技を繰り出す
向こう側では男が苛立っているらしく
椅子を蹴るような音が聞こえた

「キルア、やっぱりこんなとこ来ちゃだめだよ。
帰りたい。」

「ニノってビビりだなー。
相手の弱すぎて面白くねぇし、
違うとこ行こうぜ。」

立ち上がると同時に
相手側も立ち上がる気配がした

「おい、ガキ。今のお前か?」

「そうだけど?
おっさん、弱すぎてつまんねーよ。」

「なんだと?」

体は大きいがおじさんというには
まだ若い気がした

「すみません。
弟はちょっと反抗期なので。」

ぺこりと頭を下げれば
男が一瞬怯んだのがわかる
このままここを去ろうと
キルアの手を引くが男を睨みつけたまま
動こうとしない

「ガキはさっさと帰れ。」

「弱いお前が帰れば?」

男が近寄ってきてキルアの
服を掴まうと手を伸ばしてきたが
キルアは一瞬のうちに男の後ろに回り
後から男の尻を蹴り上げると
男は壁へと激突する

「ぎゃぁっ!?」

何が起こったかわからない男は
呻き声をあげて倒れ込んだ

「ゲームだけじゃなくて
現実の世界でも弱いね。」

悪びれた風もなく鼻で笑う

「おい、ガキが何してんだ?」

声がした方を振り返ると
3人の男が睨みつけながら近づいてくる

「あぁ、おっさんの友達だった?
ゲームも喧嘩も弱すぎ。」

「クソガキが!」

大の大人が子供相手に手を振りあげるなんて、と思うが
キルアは鼻で笑い向かってきた男達を
蹴りだけで倒していく

(すごい・・・)

と思った瞬間に頭に痛みが走った

「きゃぁっ」

「おい、ガキ。
姉貴がどうなってもいいのかよ?」

髪を引っ張られたまま
首にナイフを当てられる
そこでようやく自分が男達に
捕まっていることにわかり
冷たい汗が背中を流れた


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