25
::


甲板に出ると船番以外の船員は
久しぶりの上陸にソワソワしていた

「テメェら任された仕事が終われば
後は好きにしろ!
出航は3日後だ!遅れた奴は置いてくぞ!」

大声で言うと
おおー!と口々に言い
次々と船を降りていった

「キラー行くぞ」

あたしも抱えられ
被された布からそっと覗いてみる
初めての島でワクワクしていた
あたしが来ている夏服のワンピースに
布を被せられても暑くないという事は
きっと秋島なのだろう。

今日はキッドとキラーとあたしの
3人で街へと向かうらしい。

「キッド、まずはどこに行くんだ?」

「コイツの服とかだな。
なんか欲しい服とかあんのか?」

「ない」

「ハッ、欲がねェな」

鼻で笑いながらも俺が選んでやると
どこか楽しそうな様子だった

街を歩いていると感じるは視線

柄の悪い海賊のルーキーが
布で包んだ何かを運んでいるんだから
そりゃあ視線も感じるだろう

「ね、キッド、あたし歩く」

「あぁ?うっせェ。
布から顔出すなよ」

怒られるのは嫌だし大人しく腕の中に
収まっておくことにした。

キッドとキラーが何か会話をしている中
布の隙間から街をそっと盗み見る
活気があり人が多いらしい。


服が売ってるお店につくと
中に入りやっと布をとり降ろしてもらえた

お店の中はきらびやかで
色とりどりの服が置いてあって
キョロキョロと周りを見渡してしまう

「コイツに合う服と靴を持ってこい!」

お店の中にいたお客さん達はそそくさと出ていき
怯えた店員達がバタバタと
いろいろな服持ってきてキッドが決める。

あたしのサイズを測ろうとした店員さんに
「コイツのサイズは俺がわかるから
さっさと持ってこい」
とあたしが答える前に睨みつけ散らしていった


「これ全部」

「え!そんなにいらない!」

山積みにされた洋服を
店員がせっせっと袋につめる

「俺が決めるつっただろ」

それでもオロオロするあたしに
キラーが声をかけてくれた

「キッドの好きにさせておけ」

「それにこれはテメェが働いた金だ」

「え?」
訝しげに見るあたしを
ニヤリと笑い
キッドに指で顎を掬われる

「身体でな」

ボンっと顔が熱くなる
そういえばキッドは
あたしを買うと言っていた

「キッド、あまりからかってやるな」

くくと笑いながら
布の代わりだとローブを渡された

「外に出る時はそれ被れ」

渡されたローブは
深い藍色
少し大きめのそれは
頭からつま先まですっぽりと隠れる

そのローブを被りまた抱えられ
そのまま下着、日用品などを買ってもらった

「俺は荷物を一旦船に置きに行くぞ
後で落ち合おう」

「あぁ」

たくさんの紙袋を抱えたキラーは
船が停めてある方へと向かっていった

「お腹空いた・・・」

起きてから何も食べずに
何時間も買い物をしたからか
お腹が空いてしまった

「適当に何か食うか」

屋台で食べ物を買い
広場に置いてあるベンチで
食べる

キッドがくれたハンバーガーは
ボリュームがあり食べるのも一苦労だが
とても美味しかった

初めての屋台、噴水
何もかもが刺激的で
本当はローブを脱ぎ捨て
自分の足で歩き回りたいが
海楼石をつけられているぶん
それすらもしんどいだろう。

「キッド!これ美味しいよ!
ありがとう!!」

顔を上げるとフードが
頭から落ちてしまい顔が出てしまった

しまった!と思った時には遅く
キッドの手が伸びてきた

殴られる!と思いギュッと目をつぶったが
痛みは訪れずそのかわりやってきたのは
頭をわしゃわしゃとする手の感触。
頭から手の重みがなくなるのと同時に
フードがかぶせられた。


フードの隙間から見えた彼の顔は
いつもの凶悪な顔ではなく
どことなく穏やかな雰囲気だった。




胸が高鳴るのはなんでだろう

prev / next
[ back to top ]
top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -