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アリアの膝を枕にしているマリアは
女だし許せるが
自分のものだとばかりに
アリアを後ろから抱きしめている
イゾウには苛立ちを覚えた

サッチが
「おいおい、イゾウにアリア渡したのかよ」
なんてニヤニヤと言ってきたから
思い切り殴ってやった

他の奴らの前では
アリアを抱きしめた事などない
自分だけが女としての
あいつを知っていれば
良かったのだ。

それが今は後悔しかないのだ

イゾウのように触れていれば
何か変わったかもしれない
もっと自分のものだと主張すれば良かった。
なんて柄にもなく思ってしまう。

「チッ」

いつまでもこっちに来ない
アリアにも苛立つ

イゾウに耳元で何か囁かれ
クスクスと笑っているアリアは
この白ひげの船に乗った少女ではなく
立派な女の顔をしていた

「ねぇマルコ隊長」

いきなり声をかけてきたのは
ついさっきまでアリアの膝で
寝ていたマリアだった
その顔はニヤニヤとしていて
無性に腹が立つ

隣に座りじっと見てくるマリアに
なんて声をかけていいかわからないマルコは
無視を決めていた

「イゾウとアリアを
睨みつけすぎですよ。
アリアを泣かせたのが
悪いんです。」

「泣かせた事なんかねェよぃ」

やっと口を開いたマリアから
身に覚えのない言葉を投げられる

怒らした事なら何度もあるが
むちゃくちゃに抱いた時以外に
涙なんて見たことがない

「ふふ、そんなんだから
イゾウ隊長に横取りされるんですよ?
女は弱っている時に
傍にいられると弱いんですから」

「アリアが弱ってたってよかよい」

「誰かさんのせいですけどね」

イゾウと接点などなかったはずの
アリアが朝帰りした日の事だとしたら
娼婦といる時に見られた時のことだろうか

「怒った感じはしたが
弱っちゃいなかったと思うがねい」

「アリアが素直にすがりつくとでも
思っているんですか?」

マリアは笑顔だし一応敬語を
使ってきてはいるが
使う言葉の端々に悪意がある

「俺の事をみたから
イゾウとそういう事になったって
言いてェのかよい」

「わからないならいいんです!」

ニコニコと立ち上がり
行ってしまったマリアは
またアリアの膝を枕にし始めた

楽しそうにしているアリアをつまみに
酒を喉の奥へと流し込む

もし本当に俺と娼婦をみて弱った事は
嬉しいがそこをイゾウにつけ込まれたとあっては
素直に喜べない

どうやってアリアを取り戻すか
策をねらねェとななんて呑気に思ったが
アリアの服の中に手を入れようとしている
イゾウの姿をみて
勢いよく立ち上がってしまったのだった


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