19
::


皆の前に出るからと渡されたのは
ここに来る前に着ていたワンピース

それに袖を通し久しぶりの服を身につけた

「行くぞ」

ノックもなしにドアを開ける男は
この部屋の主であるキッド。

あたしを甲板に連れていく
もちろん海楼石はつけられたままだ

どんどん先に歩いていくキッドに
置いて行かれないように
小走りでついていく

甲板に続くドアを開けると
そこには人相の悪い男達が
いっぱいいる

あたしの肩を掴み
乱暴に引き寄せられた

「いいか、テメェら
コイツは俺のモンだ。
変な気起こしたやつは
ぶっ殺すからなァ!」

シンとなる甲板。

「アリアです。よろしくお願いします。」

ぺこりと頭を下げる

本当はよろしくなんかしたくないが
こういうのは第一印象が大事だと
教えてもらったことがある

「うぉー!可愛い!」
「頭ァ!そんな子どこで仕入れたんスか!!」

みんな口々に喋り出す
第一印象は良かったらしい。

「コイツは能力者だ。
弱いがな。
話は終わりだ。持ち場に戻れ!」

そう吐き捨てて
あたしを連れて
船内へと戻る

「思ってたよりみんないい人そう・・・」

「それでも奴らも男だからな。
油断すんじゃねェぞ」

ふんと鼻をならし
先を歩いていくキッド。

「ねぇ。キラーは?」

「あ?」

「キラー。お話したい」

ピタリと急に歩くのをやめた
キッドに勢いよくぶつかる

「痛いッ!」

「俺の前で」

「やっ、」

ガンッと壁に叩きつけられ
そのまま首を持たれ
足が床に届かない所まで
持ち上げられる

「俺の前で他の男の話なんかするんじゃねェ。
テメェの主は俺だ。」

あまり動かない首を縦にふる

そのまま手を離され
床へと倒れ込む

「ケホっケホっ」

「立て。行くぞ」

服を掴まれグイッと上へ引っ張りあげられる
このまま止まっていたら
また苦しい目にあうのはわかっている
ヨロヨロとキッドの後ろを歩いた

視界が滲む
苦しいからか
屈辱的だからか
それでも涙を流したくなくて
手で目をこすった。


prev / next
[ back to top ]
top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -