その目で
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「外に行きてェとか思ってんのか?」
探るような眼差し
そんなキッドを真っ直ぐに見つめた
「ううん。思ってない。」
沈黙が続いたあとチッと舌打ちをされた
「なら、窓に近づくんじゃねェよ。
服を着ててもな。」
小さく頷くとフンと鼻で笑い
扉から出ていく
カチャリと鍵が閉まる音が室内に響いた
きっと、キッドはこのまま
街に繰り出して仲間たちと過ごし
帰ってくるのは夜更けだ
女の人の匂いをさせて帰ってくるのだ
チクリと痛む心
私はただこの船の一室でキッドを待つだけ
自分が望んだ結果なのに
これでよかったのかと頭に浮かぶ
そんな考えを頭を振り消し去った
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