すべてが
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振り返るより早く怒鳴り声が響く
「窓に近づいてんじゃねェぞ!」
「ごめん、、なさい」
何を怒っているのか分からない
荒々しく椅子を蹴り飛ばし近づいてきたキッドを
身体を強ばらせながら見ていると
キッドが手に持っていた袋を投げつけられた
しかし全然痛いものではなく、柔らかな感触に
驚きつつ床に落ちた袋を拾い上げた
両手で拾い上げなければいけないほど大きな袋
「お前のだ。窓にいくなら服を着ろ。
そんな格好で窓に近づくんじゃねェよ。」
中身を見てみると
服が入っているようだった
ベッドの上で広げると
シンプルなベストタイプのワンピース
色は綺麗なワインレッド
まるでキッドの髪の毛のように。
おずおずと袖を通るすと
肌に馴染む感じが心地よい
きっといい物を買い与えてくれたのだ
「ありがとうございます」
「おう。それで部屋にいろよ。
外に出ようなんざ二度と思うな。」
近づいてきたキッドの手が上がり
身構えるがその手は髪の毛をすくい上げ
唇を押し当てていた
予想外の出来事に唖然とキッドを見つめるしかできなかった
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