16外の世界
::


「それ、私の分なんだけど…」

「ん?あぁ!悪ぃ!
腹が減っちまってついつい!」

にししと笑うエースのおでこを
怒りを込めて思い切り叩く

「いってえええええええ!!!!」

額を押え床に寝転がったエースを見下ろす

「どうするのよ!
明日まで何もたべれないじゃない!」

「はぁ?
何言ってんだよ。
食べもんなんか厨房にあんだろ。」

はっとした
エースの言う通りだ
この部屋の食料は冷蔵庫のものだけだが
この船には厨房があるそこに行けば
なんなりと貰えるだろう

黙っている私の目の前で手をヒラヒラとさせて
額を叩かれたのにエースは笑顔だ

「な!
今から厨房に行こうぜ!」

「…やだ。」

「道も忘れたか?
ほら!いくぞ!」

拒否をしたにもかかわらず
エースが軽々と私を肩に担いだ

「やだ!ちょっと!
いくなら1人で行ってよ!」

暴れても長い廊下を突っ切られてしまっては
為す術もない
不満そうな顔は隠さず
そのまま大人しくしていた

皆、船を降りているのか人が少ない
見たことがない人増えていた

「到着!」

ゆっくりと降ろされると
エースが厨房に向かって叫ぶ

「サッチ!!!
なんか飯くれ!!!」

フライパンを片手にサッチが出てくる

「さっき食べたばっかだろーが!
ん?」

私を見て目を丸くする

「アリア!!!!!?
お前がなんでここにいんだ?!?!」

「ひ、久しぶり…」

「久しぶりだな!
とりあえずエース、ちょっとこい。」

「なんでだよ!」

無理やり引っ張られたエースが
厨房の中へと消えていく

そのまま呆然と立っていると
後ろからキャーーーーと声が聞こえた
聞き覚えしかないナースたちの声だ

「アリアー!!」

私の世話をしてくれたベテランナースたち3人が
駆け寄ってきて涙ぐみながら抱きしてくれた

「戻ってきてくれたのね!?」

「私たち、心配してたのよ!」

「もう!よく顔を見せて!
色も白くなったし、筋肉もおちて
なんだか女らしくなってない?」

答える隙もなく言葉が飛び交う
圧倒されてると戻ってきたサッチが
私を引っ張りあげナースたちから離してくれた

「やめてやれよ!
抱きつくならおれっちにしときな!」

「サッチになんか嫌よー!
アリアを返して!」

「まだ話したいこといっぱいあるのよ!」

「あぁ、また今度な!」

「今度っていつよ!」

そんな不毛なやり取りが続いた

「お前らなにしてんだよい。」

地を這うような低い声が扉の方から聞こえた

prev / next
[ back to top ]
top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -