揺れた心
::


『アリア、お前は誰のモノだ?』

あなたのものって言わないと怒るんでしょう?

『逃がしてやらねェからな。』

逃げれるわけなんかない
そんな力があるならとっくに・・・

『・・・好きだ』

これは聞いたことがない
キッドが私を好きだなんてありえない
好きな人の扱いじゃない

それでもこれはキッドの声

きいたことがないはずなのに


「アリア、アリア大丈夫か?」

身体をゆすられている感覚で
意識が浮上する

「・・・キッド?」

その名を口にしてハッとした
ここにいるのはクザンさんだ

顔を上げると
クザンさんは驚いたような顔していたが
優しく頭を撫でてくれた

「キッドの夢を見ていたのか?
うなされている声が聞こえてきたから
様子を見に来たんだが。」

「キッドの夢をみました。
なんだか不思議な夢でした。」

「アリア、明日話を聞いてやるから
今日はもう寝ろ。
朝はまだだ。」

小さく頷く

そのまま優しい手を頭に感じながら
目を閉じるとすぐに意識が途切れた


◇◇◇◇◇◇◇

「だーかーらー!
今日は休むって言ったんだろ!」

[海賊があばれてるんですよ?!]

「下級海賊なんて
戦桃丸とかにやらしてくれ。」

次に目が覚めた時に聞こえてきたのは
クザンさんと部下との会話

おもむろに通信を断ち切っても
鳴り止まないベル

「クザンさん、行ってきてください。」

リビングには欠伸をして電伝虫を見ている
クザンさんがいた

「アリア、起きたのか。
今日は休むっていってんのに
しつこい奴らだ。」

「私は大丈夫です。
クザンさんを必要としている
人達がいるんです。」

「アリアはおれを.......」

「え?」

小さくて聞き取れなかった言葉

「なんでもない。」

鳴り続ける電伝虫の受話器をとり
「わかった。
今すぐ行く。」だけ言うと
ポンと私の頭に触れてから
家を出ていった

「行ってらっしゃい!」

と窓からいうと
ニカッと笑って手を振りながら
自転車を漕いで行ってしまった

1人になって昨晩の夢を考える

考えるのはキッドのことばかりだ
乱暴に所有物として扱われているのに

「キッド.......」

そう呟くと同時に
凄まじい音とともに地面が揺れた


prev / next
[ back to top ]
top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -