空の上
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朝、布に包んだ宝石をクザンさんに渡した
中身を見たクザンさんの眉間に皺が寄る

「アリア、これなんだ?」

「クザンさんに。
私が今返せるものは
その宝石だけです。」

「これはお前の血からできたものだろ?
そんなモノいらねェよ。
お前のその自己犠牲の精神は王族としては
いいのかもしれないが
それは今、使う時じゃない。」

「・・・でも」

「お前はもっと自分を大切にしろ。
国はなくなった。
お前はもうお前の事だけ考えろ。
そしていずれ国に帰るのなら
そこからはお前が考えればいい。」

くしゃくしゃと頭を撫でられる

「お守りとして1個貰っておく。
あとはしまっておけ。」

「は、い。」

優しくして貰えることは嬉しいのに
何かを返せないことはもどかしい
自己犠牲、考えたこともなかった
『王族は民のために』と教えられてきた

黙っているとクザンさんはフッと笑う

「アリア、お前には考える時間が必要だ。
海賊に囚われ毎日辛かっただろうが
今は自由なんだ。
ゆっくりすればいい。」

「ありがとうございます・・・」

◇◇◇◇◇

この島にはクザンさんの家しかない小さな孤島
隠れ家だと言っていた
食料はクザンさんが運んでくれるし
今までにないくらいのんびりと、
そして自由に過ごしていた
したことがない家事は教えてもらい
一つ一つ覚えていく

クザンさんを仕事に送り
洗濯物を干していると
トン、と後ろから音がした

何気なしに振り返ると
ドフラミンゴが立っていた

「久しぶりだなァ?元気か?」

驚きで固まっている私をニヤニヤと見つめている

「・・・お久しぶりです」

「こんな所に家を建てるなんざ
いい趣味じゃねェか。
流れが激しくて船じゃここにこれねェ。」

「貴方はどうやって・・・?」

上を指さす

「空だ。」

反射的に空を見上げるが
上には何も無い
あるのは青空と雲だけ

「飛べるんですか?」

「そうとも言えるし違うともいえるなァ。」

これ以上聞いてもはぐらかされるだけだろう
国を滅ぼした男に媚を売るつもりもない
無視して洗濯物を干す

浜辺に直に座りその様子を
見ているドフラミンゴは
何を考えてるのかわからない


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