7仇
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部屋に引きこもり食事をする気力もわかない
マルコさんが頭を優しく撫でてくれた

「アリア、犯人の目星はついた。
今日そいつを始末してきてやるよい。
それともお前がいくか・・・?」

小さく首を振ると
わかったよい、と部屋を出ていった

忌々しい身体の跡は少し薄らとしてきた
どれだけ洗っても消えないそれを
皮膚ごと切り取ってやろうかとも考えた


しばらくすると
船内が騒がしくなった

ドアに行き耳を当てると

《マルコさんが一人で海賊船を沈めてきた》

と騒いでいた

マルコさんはやると言ったらやる人だ
自分のためにそこまでしてくれるなんて
不思議でしょうがなかった

夜遅くまで宴が開かれている
騒いで楽しそうな声が聞こえてきた
引きこもる私の所へは誰も来ない
ナース達でさえも

寝れるはずもなくゴロゴロとしていると
コンコンとノックが聞こえた

「アリア、おれだよい。」

素早く扉を開けるとマルコさんが立っていて
部屋に入ってもらうったが
広くない部屋にはベッドしかない
そこへ座ってもらう

「お前の仇はとったよい。
海賊の男が女を狙って
レイプを繰り返していた。
卑劣な男だ。
忘れることなんて出来ねェだろうが・・・。」

そっと頭を撫でられる
ふわっと気持ち良さが滲む

大きな手が心地よかった

ふと我に返る
もっと撫でて欲しいと
擦り寄っていく己がいた

「す、すみません!」

「いいよい。
不安なんだねい。
おれがお前を守ってやるから
安心しろよい!」

今度はわしゃわしゃとからかうように
頭をなでられた

「そろそろ、外に出るかい?」

「でたくない・・・」

「みんな心配してるよい。」

「私がいなくても何も変わらない。
怖いんです。
皆が、私を笑ってるようで・・・
強がってたくせに結局弱くて・・・」

「アリア・・・」

「船を降りた方がいいのかもしれません。
何の役にも立てないもの。」

その言葉に一瞬マルコさんの手が
止まった気がして顔を見るが
いつもの笑みを浮かべていた

「アリア、戦闘なんかしなくても
この船にいればいい。
仕事なら沢山ある。
戦闘員だけが仕事じゃねェよい。
部屋から出たくねェっていうんなら
おれの仕事を手伝ってくれよい。」

「マルコさんの仕事・・・?」

「書類に目を通したり
買い出しのリストを作成したり
おれ一人だと大変だったんだよい。」

存在意義がわからない私に役割を与えてくれる

「私で、よければ・・・。」

「そうか!
親父にはおれから言っておくよい。」

ポンポンと頭を撫でると
マルコさんが立ち上がった

「さ、戻るよい。
遅くに悪かったねい。」

思わず服を掴んでしまった

「まだ、いてください。」

呆気に取られたような顔をしたが
クククと笑いベッドに横になる

「その台詞おれ以外に言うじゃねェよい。
ほら、寝てやるからこっち来い。」

幼い頃に戻ったように一晩隣で寝てくれた
安心する気持ちともう1つ違う感情が
疼いたのを気が付かないフリをした



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