6後遺症
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「はーい!
マルコさん、どうしました?」

扉を開けるとマルコさんが
目を見開いた気がした

「ナース達がお前が待ち合わせ場所に
来ないって心配してたからねい。
だからおれが様子を見に来たんだよい。」

「ごめんなさい、ちょっと寝過ごしちゃった見たい。
昨日夜更かししちゃって・・・。」

「お前が無事ならいいんだよい。
この島に親父を敵視する海賊の船が
あったからねい。
お前なら大丈夫だとは思ったが
念の為に、な。」

「あは、心配されちゃってました?
もう、過保護はいつまでも変わらないなぁ。」

精一杯、いつも通りの顔で
昨夜の出来事などなかったかのように振る舞う

「とりあえず、中に入ってもいいかよい?
急いできたから喉が乾いた。」

急いでドアに来たから
ベッドが乱れたままなことを思い出し
冷たい汗が背中を伝う

「え、っと。今は・・・。」

「先客か?」

「違う、けど。」

言い淀む私に痺れを切らし
半ば無理やり部屋へと押し入られてしまった

「水あるじゃねェかよい。
いただく、よい・・・?」

マルコさんの視線はベッドへと集中する
乱れきったシーツのうえに
破瓜の印がそのままだ

無言で近づいてきたマルコさんに
思い切りバスローブを引っ張られた
胸が見えるか見えないかのところで押さえた

「誰にやられたんだよい・・・」

マルコさんの視線を追い自分の胸元を見ると
赤い点がいくつかできていた
虫刺されだろうか、と首を傾げると
マルコさんは不穏な雰囲気を放つ

「え・・・?」

「誰にやられたんだよい?
団員のやつか?」

その剣幕でコレが無理矢理犯された時に
出来たものだと察した

「あの、」

「昨日何かあったのかよい・・・?」

眉間に皺を寄せマルコさんの
手が微かに震えていた

「大丈夫です!
ちょっとドジっちゃって・・・」

「目も腫らして、泣いたねい?」

どれだけ明るく押し切ろうとしても
マルコさんは引かない
そんなに自分は痛々しい姿なのだろうかと
情けなるほどに

「目隠しもされちゃって、
なんか飲まされたあげくに
女になっちゃっ、いました」

言葉が詰まる

バスローブを持っていた手が離れ
変わりに強く抱きしめられた

「1人で帰すんじゃなかったよい。
絶対に犯人を見つけ出してやるからねい。」

ポンポンと頭を撫でられ
せきとめていた涙が再び溢れ出した

「マルコ、さんに稽古つけてもらったのに
全然勝てなくて・・・!
ごめ、ごめんなさい・・・!」

「バカ言ってんじゃねェよい!!!
そんなことよりお前の心配をしてんだよい!!」

座り込んでしまった私を優しく抱き上げ
そのままソファに座り抱きしめてくれた
泣き止むまで何も言わずにただただ優しく
包み込んでくれた


「落ち着いたかよい?」

「はい・・・。ありがとうございます。」

「とりあえず船医に検査してもらうよい。」

その言葉に身体が固まる
犯された、という事実を
話さなくてはいけないのかもしれない

皆には知られたくない

「嫌です・・・!」

「アリア、落ち着けよい。
飲まされた薬について
後遺症があるか調べるだけだ。
それ以外はおれは誰にも言わねェよい。
絶対に、だ。」

マルコさんの力強い言葉で
検査を受けることにした

結果は何も異常がないとのこで
一安心だったが
マルコさんに触れられるのは怖くないのに
見慣れた船医の男の先生には身体が強ばった

小さく震える手をマルコさんが握ってくれていた


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