緩やかな
::


全身が痛い
ゆっくりと目を開けると
見慣れない部屋

「起きたか」

ベッドの傍らには男が座っていた
海軍の服を着て額にアイマスクをつけた男が
気だるそうに欠伸をする

「嬢ちゃん、まる1日寝てたよ。
疲れてたんだな。
怪我自体は大したことないってよ。」

「・・・ありがとうございます。
ここはどこですか?」

「ありゃ、覚えてないのか?」

「すみません・・・」

申し訳なくなって目を伏せると
頭をよしよしと撫でる

「海軍本部に連れていこうとしたら
嫌がるからおれの隠れ家に連れてきたんだが・・・」

「そう、なんですね・・・。」

「お嬢ちゃん、年は?
お父さんとお母さんはどうした?」

男の発言は小さい子どもを諭すような言い方だ

「あの、私16です。」

男の手が頭から離れた
驚いた様子で頭をかき
ため息をついた

「ええ?!
13歳くらいかと・・・。
こりゃまずいなァ。
やっぱり本部に連れていくか・・・」

「だめです!
海軍には連れていかないでください!」

「でもなァ・・・。」

「私の名前はアリアです。
しばらくここに置いてください!
家事でもなんでもします・・・!」

「うーん。
まあ、とりあえずゆっくり安め。
話はそれからだ。アリア。
おれはクザン。
クザンって呼んでくれたらいい。」

「はい。
ありがとうございます・・・」

とりあえずはこの家に留まれることになり
ほっと胸を撫で下ろした

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

それから三日
寝たきりでクザンさんが
世話をしてくれた
料理も簡単なものなら作れる、と
体に優しい物を食べさせてくれた
時折、電伝虫が鳴るが
5回に1回でるぐらいで
こんな事をしていていいのか、と
疑問に思いきいてみるが
だらけきった正義がモットーだから、と笑う

キッドと過ごした緊張する生活と違って
緩やかに流れる時間に心が温まる

三日目で体の痛みは消え
すっかり元気になった

朝、クザンさんが部屋に来て口を開く

「アリア、治ったお前に聞きたい。
お前の出身はどこだ?
その辺の町娘じゃねェだろ?」

ポトンとシーツの上に布に包まれた
赤い宝石が置かれた

「悪魔の実の能力か?
血が宝石に変わっていた。」

いつもの緩いクザンさんと違い
尋問するように真剣な顔
きっと海軍の中でも
地位のある人間だとわかる威圧感があった

「悪魔の実を食べて
体は白くなって血は宝石に変わります。
その他の力はわかりません。
出身は小さな島国です。」

「へェ・・・。
アリアという名前は
とある小さな国の行方不明の
姫君の名前と同じだ。
外見は幾分か違うが
雰囲気は写真と似ている。
本人・・・か?」

この3日で調べていたのだろう
この最近の出来事を洗いざらい
クザンさんに話した

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