衝動
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運がいい

甲板に出ると港に着いていた
大きくはないが人は多い

船から飛び降り
地面へと着地する
少し足が痛いが気にしてる暇はない
悪いと思いながら落ちていた布を被り
髪の毛を全て入れ頭を隠す

そのまま路地裏でじっとしていると
キッドの船に乗っていた船員たちが
かけて行くのが見えた

そしてキッドの姿もあった
青筋をたて風を切りながら歩いている
人はキッドの怒りを感じ取り
道を開けていく

「そのへんにいるはずだ。
見つけ出せ!」

キッドが通り過ぎるのを見てほっとした
でもこのままここにいる訳にはいかない

足の裏から血が出ていたが
すぐにそれは赤い宝石に変わる

街のことも勉強していたおかげで
どうしたらお金を手に入れるかもわかる

なんとか換金屋を見つけ出し
赤い宝石をお金に替えれた

そのまま服を一式買い替え
顔が見えないようにフードを被る

街で見かけた最新の新聞は
もう私の国のことなど書いていなかった
小さな国のことなど皆興味がないのだろう

唇を噛み締める

一刻も早くこの島から出なければ
キッドに見つかってしまう

海軍に助けを求めるべきか悩んだが止めておいた
国に連れて行ってくれるとは思わない

◇◇◇◇◇

大きくはないが何とか
客船に乗ることが出来た
次にどこの島へ行くのかを
調べるために買った地図を読む

1番端で頭までローブを被った女の横には
誰もついてこなくて安心することができた

とりあえずはこの島を出ることが1番だ

出航して安心しきっていた
うとうとと少し眠ってしまった

ドォン!

大きく船が揺れた
その揺れで目が覚める

大きな衝撃と共に身体が吹き飛ばされていた
一瞬何が起きたかわからなかった

黒い煙が客室を充満していたが
空いた穴が攻撃をされたことを物語っていた

椅子に座っていた自分は床に転がり
近くにいた客達も皆血を流し倒れていた

なんとか立ち上がり穴から外を見ると
海賊旗をかかげた黒い船が
もう1発大砲を放っていた

キッドの船ではなくて
心のどこかでほっとしている自分がいる

それでも私は国に帰れないまま
死んでしまうそう覚悟した

向かってくる黒い玉を
どこか他人事のように見つめていた

ぶつかる、そう思った時
目の前で玉が止まる

氷で止まった玉が海へと落ちた

「散歩中に海賊船に出くわすなんて
ついてねェな・・・。」

その声をした方をみたいのに
急に身体が痛くなって立っていられない
意識もそこでなくなってしまった

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