脱走
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「何してんだテメェ!」

泣きながら何度も本で窓を割ろうと
何度も叩いていると突然の怒鳴り声

見なくてもキッドだとわかる
窓から思い切り引き剥がされ
抱きかかえられた

「いや!離して!!!」

「逃げようとしてんのか?」

「帰るの!国に!
なんで、父と母が死ななければ
ならなかったの?!
なんで教えてくれないの!」

拳でキッドの胸を叩く

「っ、なんで知ってやがる・・・!」

「もう、帰して。
本当なら私も処刑されてるはずよ。
だって王女だもの!」

「帰すわけねェだろ。
それに今のお前の姿を見て
国民が受けいるとでも思ってんのか?」

ハッとしてキッドを見る

「白くなったお前は王女じゃねェ。
おれのモンだ。」

力を抜くとキッドが
私を掴む手も緩む

「国のことなんか忘れろ。」

キッドが私の身体をはなした

その瞬間、キッドの腕の中から逃れる


「嫌よ!!!
もう、キッドに従う意味なんてない!」

抱きかかえられた時に扉が開けっ放しなのは
分かっていた思い切り駆け出す

部屋を飛び出した瞬間
キッドの怒号が聞こえた
船員たちの間を抜けていく
あまり動いていないのに足が動く
悪魔の実の力なのか

失うものは何も無くなった
守っていると思っていたものは消えた

何も怖くない






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