渦巻く
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気がつけばいつもの部屋

キッドの姿は見えない

おもいきり指を噛んだ
指から血が滴り落ちるほっとしたが
流れ落ちてシーツにつく時には
小さな赤い石になっていた

その石は小さいが輝きを放っていた
すぐに宝石だとわかるほどに

「はぁ・・・」

部屋を見渡していつもないものが
あることに気がつく

入口の所に新聞が落ちていた

「新聞・・・」

この船に乗ってから外の世界の情報を
一切、与えられていない

読んだらダメだと分かっているのに
胸騒ぎを覚えてベッドから降りて
新聞を手に取った

日付は前のものだ

新聞には国の名前、そして
両親の顔写真があった

【国王、王妃死亡!】

手が震え嫌な汗が背中を伝う
政府に逆らう反乱分子の国として
七武海のドフラミンゴが
国を滅ぼしたと書いてあった

政府逆らうなんてあるはずがない
まるで極悪人のように書かれている記事に
新聞を持つ手に力がこもる

「皆、死んだ。」

国のためを思って身を差し出したのに

キッドは知っていたのに
話してくれていない

涙で視界が悪い

新聞を放り

窓に向かって本を思い切り投げるが
ビクともしない

今まで感じたことの無い
悲しさ怒り悔しさ
感情がグルグルと自分の中で渦巻く

無我夢中で窓に体当たりをしても
割れることはなかった


大きな声を出して泣いた


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