赤い印を
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椅子に座り後ろの会話に聞き耳をたてる

「えー、折角綺麗な金髪なのに染めるの?」

「さっさっとやれ。」

「もったいなー。
ねぇ、貴女は本当にいいの?」

「そいつにしゃべりかけんじゃねェよ!」

「はいはーい。怖いわねー。
こんな子どこで手に入れたのよ。
ていうか趣味変わったわね。あんた。」

「だまれ。」

キッドを[あんた]なんて呼べるっていうことは
親しいのだろう
でもその姿を見ることは出来ない
目は布で覆われている

「塗るわねー。」

何をするのもかも分からないまま
椅子に座らされて恐怖しかなかったが
女の人の声を聞いて少しだけ安堵する

頭皮に冷たい何かが触れた

「ひゃぁっ・・・」

「何今の声、可愛い!
キッドー、この子の顔みたい!」

「ダメだ。
お前も声出すんじゃねェよ!」

ガンっと椅子を蹴られて身体が強ばる

「やぁだ、怖い。
いつもそんななの?最悪。」

「うるせェ。
殺されたくなかったら黙って仕事しろや。」

「はぁい。」

くすくすと笑い怖がってなさそうだった
キッドに慣れてきるのだろう
昔からの知り合いなのかもしれない

何かを塗られ
放置され時間が経つと
髪の毛を洗われる

ハサミを使う音が聞こえる
髪の毛を切られているらしい

櫛で梳かしながら乾かされ
痛くもないし気持ちよかった

「綺麗にできたわ!さすが私!
じゃ、キラーにでもあって帰るわ。
新世界じゃなかったら大体は来れるし
また呼んでねー。」

またね、と声をかけられて
女の人の気配はなくなった

◇◇◇◇◇

目隠しをとられ鏡の前で見せられた
自分の姿に目を見開く

腰まであった髪は肩より少し下くらいまで
切られ短くなっていた

それよりも驚いたのは髪の色だ
金色だった髪はキッドのように
燃えるような赤色に変わっていた

髪の毛を染められることは知っていたが
一生することもないだろうと思っていたのに

短く、赤くなった髪に触れる
鏡に映るキッドは満足そうに口角を上げた

「それでお前がこの船に乗ってるなんて
誰も思わねェだろ。」

きっと目くらましの意味もあるのだろう、
と納得した
そのままの姿でいればきっと見つかる

隣にキッドが来ると
顎を掬いあげられてまじまじと顔を見られた

「これでお前はさらにおれのモノになった。
逃がしゃしねェよ。」

「・・・はい。」

この髪は所有物という意味も
込められているのだろう

顎にあった手が首をつたい肩に触れる
月の物が終わるとまた裸で生活していたが
今日は服をあたえられていた

「そのうちこの身体にも
印を刻んでやるよ。」

キッドがそう言えば絶対に実行する
恐怖でかたまってしまうと鼻で笑われる

「お前の怖がる顔もそそるな。」

キッドニヤリとしてグッ
と力を入れて肩を持たれる

「ひぅっ、」

痛みで顔をゆがめ
情けないくらいの小さい悲鳴が口から漏れる

「分かってんのか?
そういう顔がそそられる。
もっと酷くして泣かしてやりたくなる。」

もう既に何度も泣かし酷ことをしているのに、
と思う


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