諦めは早い方がいい
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辺りはまだ薄暗い
夜明けまでにはもう少し時間がかかりそうな空

震える足を懸命に動かし船へと乗り込む
焼け焦げた臭いがただよう
故郷を離れてしまうことを
まだ受け入れたくない自分がいた

「さっさっと歩け。」

「・・・はい」

別れに父様と母様に会うことも叶わなかった

我儘を言ってこれ以上この島に
損害を与えるわけにはいかない

これから自分がどうなるかもわからない未来に
ただただ恐怖しかなかった

船に乗り込むとキッド海賊団の船員達が
ニヤニヤと笑みを浮かべこちらを見ていた

「こいつはアリアだ。
今日からおれのもんだ。
お前ら、ちょっかいかけたら
ぶち殺すからな!」

震える手でスカートを持ち上げ頭を下げる

「アリアと申します。
どうぞよろしくお願い致します。」

口笛と拍手、ユースタス・キッドを
讃えるような声が聞こえてきた

「着いてこい。」

言われるままにユースタス・キッドの後ろを歩く
好奇心を隠さない視線は居心地が悪い
私の後ろからは仮面の男がついてきていた

しばらく歩くと船の奥に
頑丈そうな鉄の扉が開かれる

「お前が住む場所だ」

部屋の中は大きなベッドとソフォにローテーブルと
飾り気のない部屋だった

「・・・ここで1人ですか?」

「んなわけあるかよ。
おれと同じ部屋だ。」

大きなベッドは私1人には広すぎる
分かっていても確かめられるずには
いられなかった

今日からこの男との共同生活が始まるのだ

「キラー、下がれ。
2時間後に食事をもってこい。」

「あァ。わかった。」

出ていってしまった仮面の男
二人きりの部屋の空気は重たく感じる

ドカッと乱暴にソフォに腰掛け
テーブルの上にある酒瓶に手をのびし
こちらを見た

「突っ立てねェでこっち来い。」

「・・・はい」

ユースタス・キッドから少し離れた所に座るが、
苛立ちを隠さずに思い切り手を引っ張られた

「っ、いたい、」

「おれがこの部屋にいる時は
お前はおれの隣にいろ。
それより聞きてェ事がある。
お前は処女か?」

「なっ、」

婚前の性交渉はよくないと教育を受けてきた
16の自分に経験があるわけがない

「ないです。
性交渉をするのは夫となる男性だと
小さい頃から教えられています!」

「良い教育だな。」

鼻で笑い、口角をあげた
絶対にそんなことは思っていないことは見てとれる

「貴方は私をどうするのですか?
ヒューマンオークションで売るのですか?」

「あ?んなことしねェよ。」

「じゃあ、なんで私を・・・」

大きな手で口を塞がれる
その瞬間恐怖で身体が固まった

「ごちゃごちゃうるせェな。
おれのことはキッドと呼べ。」

返事を待つように睨みつけられ
小さく頷くと口を塞いでいた手がはずされる

「身体検査してやるから
身につけているものを全て脱げ」

「え・・・?」

衝撃的な言葉に目を見開く

「自分で脱げねェなら手伝ってやるよ。
脱ぐのか脱がねェのかハッキリしろ!」

怒鳴りつけられすぐにソファから立ち上がり
着ている服を床に落とす
いつもの様にドレスではなく
寝る用のワンピースのままなので
するりと時間をかけずに脱ぐことができるものだ

「下着も、全てだ。」

「下着も・・・」

震える手でブラジャー、パンツも全て脱ぐ
羞恥で自分でも分かるほどに顔が火照り
視界が滲んでくる
手で胸と下腹部を隠すが
手をつかまれて無理矢理広げられ、
上から下までじっくりと見られた


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