戻った世界
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今日は久しぶりに1人で過ごす
ドフィが出かけてしまう時は
新しく作られた部屋にいれられる

窓もないその部屋は豪華な牢屋だ

ただ流されているだけの日々に
嫌気がさしていた

小さくため息をつき目をつぶった


◇◇◇◇◇

どれくらい眠っていたのか
目を開くと見慣れない部屋

ドフィに用意された場所ではない

状況が理解出来ずキョロキョロとしていると
一つだけの扉が開く

「あら、起きたのね。」

「・・・お母さん?」

それは幼い頃から見ていない母親だった
小さい頃はまるで汚物でも見るように
あたしを見ていたのに今はそれを感じない

「あなた、
お屋敷から逃げ出した間どこにいたの?」

「ここは・・・?」

「実家のことも忘れたの?」

ドフィの部屋にいたはずなのに
あの世界から元の世界に戻ってきたのか?

震えを押さえてベッドから降り
窓に駆け寄り外を見る

小さい頃によく見た景色

「・・・あたしなんでここに?」

「リヒトが貴女を探してたの。
私は止めたのに・・・」

「母さん」

もうひとつの声に扉を見ると青年が立っていた

「あら、リヒト」

「アリアと話すよ。
出て行ってくれる?」

「ええ、わかったわ。」

ヒステリックな女だったのに
今はなんだか落ち着いている
何かが変なきがした


5つ上の兄
あたしがΩだとわかると
母親と父親はすぐに出て行かせようとしていたのに
『自分の妹がΩなんて知られたらゾッとする』
と言っていたのに最後まで反対していた

「久しぶりだね。」

「兄さん・・・」

似ていない兄
祖母の血が色濃くでたあたしと違い
兄は両親に似ていた
サラサラの黒髪、小さい頃は羨ましかった
αの兄はやはり自分とは違う
自信に満ち溢れている

「探したんだよ。
なかなか母さんと父さんも
どこにアリアを送ったか
口を割らないしね。」

扉の鍵を閉めてニコニコと微笑み
窓の近くにいるあたしに近づいてくる

(こわい・・・)

そう思うのは何故なのかはわからない

「あたしを、どこで見つけたの・・・?」

「それは今関係ないだろ?
アリアは知らないかもしれないけど、
αにも優劣があるんだよ。
母さんや父さんよりも
おれの方が優れていたから
口を割る事ができたんだ。」

「こないでっ!」

「やっと見つけたのに
誰に番にされたんだ?」

首に触れられた
触れられた場所がゾワゾワとする

「関係ないでしょ!」

パンっと音を立てて手を叩く

「昔と違って強気だね。
・・・生意気だ。」

手をひねりあげられ
ベッドへと突き飛ばされた


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