こんなに難しかったっけ
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解放してやる、と言った通り
次の日からマルコが傍に来ることがなくなって
いつもの日常が戻ってきた

「アリア、最近元気ねェな。
どうした?」

見張り台の上でエースに話しかられる
鈍感なエースにすらわかってしまうほど
自分は元気がないらしい

「別に元気だよ?」

解放されて喜ぶべきなのに
どこか寂しいと思う自分がいた
無理矢理抱かれ犯おされたのに
忘れていたことを思い出してしまった今は
マルコを求めていた

「そうか?
ま、それならいいんだけどよ!」

エースといると楽しい、安らぐ
それなのに前と全然違う気持ちがあった
あたしはエースを求めていない

マルコと話さなくなって半年、
気がついてしまった気持ち

◇◇◇◇◇

気が重い
なんでもないはずの
扉がまるで鉄のように感じる

覚悟を決め扉を叩くと
すぐに声が返ってくる

「入っていいよい。」

重く感じる扉をそっと開くと
机の資料に目を通しているマルコがいた

「マルコ、いい?」

「アリアか、どうした?」

半年喋っていなくて
あんことをしていたのに
まるで何も無いようなマルコ

「今、いい?」

「どうしたんだよい。」

自分から来たくせに
言葉が出ずに止まっていると
マルコが椅子から立ち上がるのがわかった

「アリア、どうした?」

心臓が煩い
マルコが近づいてきただけで
心臓が高鳴った
今までエースに感じていたような気持ち

「もう、いらなくなったの?」

自分でも驚くほどの小さく絞り出すような声が
口から漏れた

「なんだよい?」

「あたしのこと、いらなくなったの?」

今度はさっきよりも声が出せる

「アリア、何言ってんだよい・・・?」

自分でもわからない
マルコはもっとわからないだろう
目を見開いている

「半年前にあの島に行った時、全部思い出したの。
小さい頃からどれだけマルコといたか、
何でそれを忘れていたのかも。」

「そうか・・・」

小さく息を吸う

「マルコは忘れていたあたしが
嫌いであんなことしていたの?」

気になっていたこと
マルコはあたしを
求めていたのではないのかもしれない

マルコがどんな顔をしているのか
見たくなくて目をそらす

ふっ、と笑ってマルコの大きな手が
頭を撫でた

「違うよい。
おれはお前が欲しくてたまらないからねい。
間違いだとしてもまた傍にきたお前を
離したくなかったんだよい。」

欲しいと言われ思わずマルコ見上げる

「お前を壊しちまう前に
解放してやろうと思ったんだよい。
嫉妬でどうにかなりそうだったしねい。」

「マルコ、あたし・・・」

何も話せずじっと目を見つめると
頭にあった手が頬に添えられた

「逃げるなら今だよい。」

「・・・逃げない。」

「後悔すんなよい。」

近づいてくる顔に目を閉じると
優しく唇が重なる

それは何十回としてきた
情事中のキスよりもとてもとても
あまく感じた



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