こじ開けられる
::


宛もなく街を歩く
所々に兄弟達がいるが
なんとなく避けて通る

「アリアー!」

神様は意地悪だ
会いたくない人物に引き合せる

「エース・・・」

なんだかキラキラしていて
昨日、何かあったっていうことが
嫌でもわかる

「いやー、昨日すごかったぞ!
アリアも行こうぜ!」

「あたしがそんなとこ行ってどうすんのよ。」

「でも、すごいんだって!
昨日は来ようとしてただろ?」

「っ、行かない!馬鹿じゃないの?!」

「おい、何怒ってんだ?」

こんなことに嫌な気分になるくせに
好きな男に操を立てずに
マルコに抱かれている自分も嫌だ
もう何にイライラしてるかわからない

「・・・ほっといて。」

絞り出したような声で告げて背を向けた
最悪なのはわかっているけど
今は一緒にいたくない、会いたくない

追いかけてくる気配もなく
ほっとして路地裏で屈む

「最悪だ、あたし・・・」

これはただの八つ当たり
わかってもいても女を抱いたであろう
エースと一緒にいたくない

「あら、アナタ大丈夫?」

暫くしゃがみこんでいると
女性が心配そうに話しかけてくる

「すみません。大丈夫です。」

顔を上げればそこにいたのは
昨日、マルコと会っていた女だった
見上げる位置にある女の顔

青ざめて唇が震える

記憶より先に身体が拒否反応を起こす

「どうしたの?大丈夫?」

あたしが誰かわからないのだろう
コイツの記憶にあるのは
か弱い子どものあたしだけ

「ちょっと、どうしたの?」

目を見開き震えるあたしを
心配したように手を伸ばしてきた

「・・・触わ、るな」

昨日のように耳鳴りがして
周りの音が聞こえない

足がもつれそうになりながら駆け出した

(あぁ、思い出した。
忘れていた、記憶)

深く傷つけるもので
防衛本能から記憶の奥底にしまい込んだ記憶だった

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