152
::


「ケイミー!!探しぞ〜!よかったー!!」

場内は騒がしくなり
魚人族の男が姿を晒すと
あちこちから耳を塞ぎたくなるような
嫌な言葉が聞こえてくる

「チッ、低俗な奴らだぜ。
気分悪ィな。」

ルフィは止めようとする人間を振り払い
壇上にいる人魚の女の子の所へ行こうとしている

ドン!ドォン!と発砲音

魚人が血を流して倒れ
その前で銃を手に持ち小躍りをする天竜人

「当たったえ〜!
魚人を仕留めたえ〜!」

「ハチ!!」

ナミが叫んだが会場からは
安堵の声と非難の声が聞こえてきて
誰もハチと呼ばれた魚人を心配しない

「タコがタ〜ダ〜!」

喜ぶ天竜人に向かおうとするルフィをハチが止め
報いだ、ナミに償いたいと涙を流すハチに
天竜人は苛立ち銃を向けた

周りの静止も聞かずにズンズンと
天竜人に向かい歩いていく

「何する気だあいつ・・・!!」

場内はざわめきだした

「本気か?!」

この後なにが起こるか分かったキッドは呟いた

「お前もムカツクえ〜!」

発砲する天竜人に向けて拳を振りかざす
頬にのめり込む拳
一瞬の出来事のはずなのに
スローモーションに見えた

吹き飛んだ天竜人はピクピクと動いてはいるが
意識を完全に無くしていた

ざわめいて会場が静かになり
ルフィがパキポキと指を
鳴らす音だけが響き渡った

「悪いお前ら・・・コイツ殴ったら
“大将”が来るんだった。」

麦わら海賊団の面々は
少しも怒った様子はなかった

逃げ惑う人達、怒り狂う天竜人
目の前で起こっていることなのに
信じられなかった

壇上の奥から巨人と共に現れた老人が
会場を睨みつけたところで意識が途切れた

◇◇◇◇◇

「付いてくるな。お前らは逃げろ。」

「ふん、女抱えて戦えるのか?
俺なら戦えるからアリアを寄越せ。」

「ん?そいつ鳥のやつか?
俺が仲間にしてェやつだ。」

「黙れ。渡すわけねェだろ。」

頭の上で男達が言い争う声が聞こえてきた
目を開けるとキッドの顔がある

「キッド・・・?」

「目が覚めるのはええな。
まあいい。俺に掴まっておけ。」

どこかに向かって歩いているらしく
光が見えてきて眩しくて目を瞑る

「お前ら、下がってていいぞ。」

「お前ら2人に下がってろと言ったんだ。」

「今度俺に命令したらお前から消すぞ。
ユースタス屋。」

キッドの掴まりちらりと見れば
海軍が取り囲んでいた

「キッド・・・!」

「あ?怖いのか?
すぐに終わらしてやるから安心しろ。」

大勢の海軍に対してこちらは三人
とても不利に思えるが
それでもキッドを信じるしかない
あたしを抱き抱えたままだと
動きにくいはずだ

素早く鳥の姿になりキッドの肩に乗る

「おお!アリアの鳥の姿って
すっげーかっこいいな!」

「アリア、そのまま俺の肩に乗れ。」

横からルフィの呑気な声とローの声が聞こえてくる

「呼び捨てにしてんじゃねェよ。」

アリアを呼び捨てにされた苛立ちは
きっと後であたしにぶつけられる気がして
小さくため息をついた




prev / next
[ back to top ]
top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -