君がいた
::


身体が熱い
弱いくせに飲みすぎた自覚はあった

「み、ず・・・」

そう呟くと唇を柔らかいものが触れ
口の中に喉を潤す水分が注がれる

それを何度か繰り返し
また意識は薄れていった

◇◇◇◇◇

瞼が重い

(ここ、どこ・・・?)

ベッドだとわかると跳ね起きる
昨日のメンバーの誰かとまた失態を犯したのか

恐る恐る隣を見ると
見覚えのある髪型が見えた

(マルコか・・・)

と安堵したが昨日のメンバーに
マルコはいなかったことを思い出す

「マルコ?!」

思わず悲鳴のような声を上げてしまうと
マルコが身じろぎこちらを向いた
眠たそうに瞼を擦る

「アリア、うるせェよい。」

「マ、マルコがなんでここに?!」

「おれが迎えに行ってやったからだよい。
手間かけさせやがって。」

伸びてきた手が頭をくしゃくしゃと撫でた
そのまま俯くと自分が服を
着ていない事に気が付き顔が赤くなる

「ふ、ふく!脱がしたの?!」

「お前がゲロ吐きまくって
ドロドロになったからねい。
おれのも。」

と指をさされた方を見ると
自分の服と昨日マルコが着ていた服が
綺麗に洗われ干されていた

「ご、ごめんなさい。」

「お前の世話なんて昔からしてるからねい。
今更だよい。」

そう言ってマルコは笑った
その顔に胸が熱くなる
昔にも感じたような気がする
そうだ、昔からマルコには助けてもらっていた
何年か前から最近まで忘れていたかのように
マルコには近寄らなかった自分が不思議でならない

「・・・ありがとう。」

「いいよい。
気分はどうだよい?」

「ちょっとしんどいけど大丈夫。」

「まぁ、服もなきゃ外にも出られねェよい。
今日はゆっくりするよい。」

「え、」

「まだ、朝早い。
寝るよい。」

マルコに引きずられ
腕の中へと閉じ込められる

抱かれるのでは、と
思ってしまった自分が恥ずかしい

昔みたいにマルコにそっと擦り寄ると
抱きしめる力が強くなった気がした
その温もりは安心できるもので
気がつくと瞼が閉じていた


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